かつて、CMやカタログなどの広告媒体に利用する動画や画像は、カメラで撮影するのが一般的でした。
しかし、近年はコンピューターで作成する3DCGを利用するケースが増えてきています。
撮影と3DCGでは品質やコスト、納期などに違いがあるので、それぞれの特徴をよく理解してから選択することが大切です。
今回は撮影と3DCGの特徴や違いをまとめました。
撮影と3DCGの特徴を5つのポイントで比較
撮影と3DCGでは、完成した動画・画像の質や作成に掛かるコスト、納期などに違いがあります。
ここでは撮影と3DCGの特徴を5つのポイントに分けて比較します。
比較ポイントその1:動画・画像の画質
最新の技術を駆使して製作された3DCGは、平面的なCGとは異なり、人物や背景、オブジェクトなどを立体的に表現できるため、リアルな動画・画像を作成することが可能です。
実際、3DCGはリアリティを求められる映画やゲームなどにも用いられており、美麗な動画・画像が高く評価されています。
なお、同じものを表現した場合、撮影による実写動画・画像の方が画質は上です。
例えば実際に存在する木を撮影した画像と、その木を基に製作した3DCGでは、前者の方が品質は高くなります。
ただし、屋外での撮影は雨などの天候に左右されやすく、場合によっては本来の素材感を引き出せない可能性があります。
その点、3DCGはコンピュータで作業するため、天候に関係なく常に一定の品質の映像や画像を造り上げることが可能です。
比較ポイントその2:質感や光沢感などの表現力
撮影は動画・画像の質が高いため、商品の質感や使い心地、使い方などを表現するのが得意です。
また、実在する人物や場の雰囲気などは実写の動画・画像でなければ伝わりにくいため、撮影の方が適しています。
一方、3DCGは実写では難しい表現を可能にするところが特徴です。
例えば、完成した商品の内部構造を説明したい場合、3DCGなら商品の断面図を製作することで、商品の内部がどうなっているのか、使うとどのような動きをするのか、などを詳細に表現することができます。
表現力に関しては、撮影と3DCGのどちらが上ということはなく、それぞれ得意とする分野が異なると考えておいた方がよいでしょう。
比較ポイントその3:動画編集・画像編集のしやすさ
完成した動画・画像の編集のしやすさについては、3DCGの方が上です。
撮影した実写動画・画像も、細かな修正であれば対応可能ですが、例えば被写体そのものを変更しなければならない場合は撮り直しが必要になります。
一方、3DCGは元々コンピューターで製作した動画・画像なので、被写体の入れ替えなど大幅な修正も比較的容易に行えます。
比較ポイントその4:制作にかかるコスト
コストについては、撮影と3DCGのどちらが高いかを単純に比較することはできません。
まず撮影ですが、自社で行う場合はカメラなどの機材を揃える必要があります。
また、美麗な動画・画像を撮影するには特別な技術やノウハウが必要になるため、社内にそのような人材がいない場合は動画・写真撮影できる人材を育成する研修などを行うことを検討しなければなりません。
人材の育成にはかなりの時間とコストが掛かるため、多くの企業ではアウトソーシングを検討しますが、外注する場合はカメラマンや撮影班を雇うコストが必要になります。
さらに撮影をスタジオなどで行う場合は、その場所の使用料も加算されるため、大がかりな撮影になるほどコストはかさむ傾向にあります。
一方、3DCGはコンピューターと専用のソフトがあれば製作できるので、撮影に掛かる費用を節約することが可能です。
ただし、3DCGの製作には高性能なコンピューターが必要になるため、自社で製作するとなると相応の初期導入費が発生します。
また、3DCGの製作には専門的な知識や技術が求められるため、社内でまかなう場合は人材採用や人材育成の費用も発生します。
撮影の場合と同じく、3DCG製作を請け負っている業者に外注するという方法もありますが、複雑な3DCG製作を依頼する場合は費用の負担も大きくなるのであらかじめ注意が必要です。
比較ポイントその5:制作発注にかかる時間
動画や画像の製作を外注した場合の納期については、一般的に3DCGの方が多少長くなる傾向にあります。
撮影の場合、カメラマンや撮影班の選定、スタジオ選び、照明の当て方など、事前にいろいろ取り決めることがあるので準備に多少の時間は掛かりますが、実際の撮影時間はそれほど長くありません。
商品のみの撮影であれば半日程度で済むことも多く、かつ編集作業についても撮影した画像を繋いでいくだけなので、撮影を開始してから納品するまでの期間は比較的短くなります。
一方、3DCGは現場に出向く手間はカットできるものの、何もない状態から必要な素材を作り出していくモデリングからスタートし、パーツなどを追加するリギング、リアルな質感を出すためのテクスチャリング、作成したキャラクターやオブジェクト、カメラの動きなどの演出を指定するレイアウト、オブジェクトに動きを追加していくアニメーションなど、複数の工程が必要になります。
これらの工程は、発注した3DCGの内容が複雑であるほど手間が掛かるため、撮影よりも納期が長くなりがちです。
ただ、前述したとおり、3DCGは撮り直し不要で編集できるため、修正が必要になった場合の手間は撮影よりも少なくなります。
撮影と3DCG、どちらを選ぶべきか
ここまで説明したとおり、撮影と3DCGではさまざまな面で特徴に違いがあるため、一概にどちらが良いと断言することはできません。
そのため、撮影か3DCGのどちらにするか迷った場合は、自社のニーズや目的に合わせて選びましょう。
ここでは撮影と3DCGそれぞれに適したケースを紹介します。
被写体があるものをリアルに表現したいなら撮影がおすすめ
実在する被写体をリアルに表現したいのなら、素材の本来の質感を忠実に再現できる撮影を選択するのがおすすめです。
実在する被写体なら、一から素材を作る3DCGよりも撮影の方がローコストで済ませられるというメリットもあります 。
ただし、前述のとおり天候に左右されやすく、日程調整が必要になった場合は余計なコストが発生する可能性がある点に注意が必要です。
撮影が難しいものを表現するなら3DCGがおすすめ
撮影するのが物理的に難しいものを表現したいのなら、3DCGを選択するのがおすすめです。
例えば、商品の断面を見せたい場合や、現地に赴くのが難しい場所を動画・画像に取り込みたい場合は、多彩な表現を可能にする3DCGの方が適しています。
会社案内やリクルート映像の製作なら撮影がおすすめ
会社案内や求人向けのリクルート映像を製作する場合は、撮影がおすすめです。
実写動画・画像であれば、3DCGでは表現しきれないその場の雰囲気や社員の人柄、細かな表情なども忠実に表すことができます。
編集に掛かるコストを抑えたいのなら3DCGがおすすめ
完成した動画・画像に後から手を加える可能性が高く、かつそのコストを抑えたいのなら3DCGがおすすめです。
特に被写体を変えたり、大幅なアレンジを加えたりする可能性がある場合は、編集が容易な3DCGを選んだ方が時間とコストの節約になります。
以上が撮影と3DCGのどちらを選ぶか迷った場合の大まかな基準となりますが、自社のニーズがどちらに合っているかわからない場合や、双方の特徴を活かしたいと思った場合は、撮影と3DCGの両方に対応している業者にアウトソーシングするのがおすすめです。
撮影・3DCGの両方に対応している業者なら、撮影した写真と3DCGを合成するなどのアレンジを加えることもできるため、表現の幅が広がります。
撮影と3DCG、それぞれの特徴をよく理解してから検討しよう
撮影と3DCGでは、製作した動画・画像の質や表現力、編集のしやすさ、コスト、納期などに違いがあります。
どちらが良いということはなく、それぞれに特徴やメリットがあるので、自社がどのような動画・画像を求めているのか、そのニーズや要望に適した手段を選びましょう。
写真と3DCGを合成するなど、撮影と3DCGの特徴を掛け合わせたい場合は、両方のサービスに対応する業者にアウトソーシングすることをおすすめします。
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