うずら
はじめまして、デザイナーのおしゃべりうずらです。
ポスター、チラシ、雑誌、服、雑貨、どんなジャンルのデザインでも、まずは人の目に止まることが大事です。
人気のある色を使ったり、人気の芸能人やかわいいイラストで飾ったり…最近では炎上商法という言葉もありますが、大抵の場合は人々の「好き」という感情に訴えてイベントへの誘導や消費行動につなげます。
「あの人はあれが好きだよね」「◯◯は今人気があるよね」など、「好き」とか「人気」といった話題はポジティブで盛り上がりやすいですよね。
「私はこれが嫌い」はネガティブで話題に出しづらいかもしれません。
でも実は、誰かの「嫌い」や「苦手」はデザインする上での大切な情報なんです。
デザイナーは「大好き」なものほど要注意。
どんな案件にも冷静に向き合うのがプロのデザイナーですが、デザイナーといえど人間なので、依頼内容が自分の好きなことに関連していたらやっぱり少しテンションが上がってしまうものです。(※私見です。)
たとえば鳥が大大大好きな私に「動物か鳥の写真をつかったパンフレット」の依頼が来たら「素材選びで鳥の写真がいっぱい見られる♪」とテンションが上がると思います。
すぐに「かっこいいし流行ってるからハシビロコウの写真をドーンと大きく使おう!」となるかもしれません。
しかし「私が大好きなものだし、流行ってるし、これで正解!」…とはなりません。
まずは冷静にフラットな目で依頼内容を見てみる
好きな気持ちで突っ走ってしまう前に、まずは冷静に依頼内容に目を向けましょう。
そのポスターは「どんなクライアントが」「なんの目的で」「どこで」使用するのか?そして「なぜ動物か鳥の写真なのか」を理解することが大切です。
今回はたとえば「旅行会社の夏休みの動物園ツアーパンフレット」です。
旅行代理店やスーパーマーケットなどで配布します。
うずら
じゃあ目立つしやっぱりハシビロコウで!
羽やクチバシや脚の細かい質感もしっかり見えるように全身で大きく使います!
…もう一度冷静になりましょう。
依頼内容まとめ
- 「クライアント」は旅行会社…先方が動物か鳥の写真と言っているので、ハシビロコウは間違っていません。
- 「目的」は夏休みの動物園ツアーのアピール…動物園でしか見られない生き物なので、ハシビロコウは正解のひとつです。
- 「どこで」は旅行代理店やスーパーマーケット…ちょっと奇抜すぎるかもしれません。
こんな感じで冷静に分析して、ときには仲間の意見を聞きながら判断しましょう。
さて仲間の意見も聞いて「今回はハシビロコウでいこう!」となりました。
うずら
やったー!羽やクチバシや脚の細かい質感もしっかり見えるように全身で大きく使います!
…もう一度冷静になりましょう。
「嫌い」「苦手」な人の意見に耳を傾ける
前述した通り、私は鳥が大大大好きなので、大きな鳥も小鳥も、鳥のクチバシも足も目もなんでもOK!大好きです。
ですが、鳥が嫌いな友人も何人かいるため、その人たちが鳥のどこが嫌いなのかを聞いたことがあります。
「脚が気持ち悪い」「目が怖い」「羽が鱗みたいに見えるのが苦手」そんな意見が多いです。
今回のパンフレットは特別鳥が好きな人に向けたものではなく、たとえばファミリー層などたくさんの人に手に取ってもらうことが目的です。
ハシビロコウは目を引くから良しとしましたが、鳥のリアルさを全面に出してしまうと「鳥が嫌いな人」だけではなく「嫌いでもないけど好きでもない」人にも気持ち悪がられて敬遠されてしまう可能性が高くなります。
これではクライアントにもこちらにも不利益となります。
大切なのは依頼に対して客観的な目を持つこと
今回のような場合、ハシビロコウで目を引くことを意識しつつ脚はそんなに見えないようにトリミングしたり、羽が鱗状になっていない写真を選ぶなど、「嫌われる箇所が減る」ようにマイルドにアレンジしていきます。
もちろん「鳥マニアのためのイベントのパンフレット」だったら逆に鳥のリアルな部分をどんどん出していきます。
大切なのは「デザイナーの好きの押し付け」になってしまわないよう、目的から客観的に冷静に判断することです。
そんなときに役に立つのが誰かの「嫌い」や「苦手」の情報だったりします。
みなさんもたまには「嫌い」や「苦手」をさらけ出してみませんか?
ちなみに私は金魚の鱗がちょっぴり苦手です。
金魚のイラストを描かれる際など、ちょっとマイルドにしていただけると嬉しいです。
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