小説をはじめ、新聞や雑誌などで、読みづらい漢字は人名の上にひらがなで読み仮名が書いてあると思います。
これがみなさんおなじみのルビです。読み方がわからない時に便利ですよね。
今回はそんなルビの話です。
「ルビ」という言葉の語源と生まれたきっかけ
ルビという言葉が使われるようになったのは文明開化の明治時代のこと。
当時の日本では、5号活字という文字サイズが一般的に用いられていました。
そして、この5号活字にふりがなをふる際に用いられていたのが7号活字という文字サイズです。
ふりがなとして用いられていた7号活字をイギリスの文字サイズにすると約5.25ポイントになります。
これに対し、イギリスでは5.5ポイントの文字サイズのことを宝石に例えて「ルビー」と呼んでいました。
ちなみにルビーより少し大きい6.5ポイントの文字サイズは「エメラルド」といいました。
逆にルビーより少し小さい5.0ポイントの文字サイズは「パール(真珠)」といい、更に小さい4.5ポイントの文字サイズは「ダイヤモンド」とも呼ばれます。
5.25ポイントの7号活字と5.5ポイントのルビー。
ほぼ同じだったことから7号活字は「ルビ活字」と呼ばれるようになりました。
もしもこの時、別の大きさのものが選ばれていたら「パール」や「ダイヤ」と呼ばれていたかもしれませんね。
そこから、ふりがなとして使用される頻度の高い7号活字全体のことを「ルビ」と呼ぶようになって、
さらに文字サイズ関係無くふりがな全体のことを「ルビ」と呼ぶようになったそうです。
ルビは横書きでは文字の上に、縦書きでは右につけるのが基本です。
ルビの振り方の代表的な2つのパターン
ルビをふる対象の文字を「親文字」と呼びます。
その親文字に対して、ルビをふる代表的な方法が2つ、モノルビとグループルビがあります。
「モノルビ」
一つ一つの親文字に対してルビを振る方法です。
岸田でいえば「岸」と「田」の字が、親文字になります。
「グループルビ」
複数の親文字を一つのグループとして捉え、その範囲内でルビを均等に振る方法です。
上記の場合だと「岸田」と「文雄」が、親文字となります。
両方同じに見える場合
すべての親文字に振るルビの数が同じときはモノルビとグループルビは同じに見えます。
グループルビにせざるを得ない場合
どの親文字にどのルビを振るか厳密には言えない当て字などはグループルビにせざるを得ません。
ルビのフォントによる見え方の違い
親文字とルビのフォントは合わせた方が綺麗です。少なくともゴシックか明朝かはそろえるべきでしょう。
ルビの大きさのバランスも注意が必要
大きすぎても2行に見えてしまうし、小さすぎても読みづらいので親文字の半分の大きさぐらいがちょうどいいです。
ルビが本文より大きいときはどうする?
モノルビのとき、ルビが3文字だとどうしても親文字からはみ出てしまいますが、スペースが空いている方に飛び出させるパターンと親文字のセンターにおき、左右を少しずつ開けるパターンがあります。
どっちにするかは好みによると思いますが、全体通してそろえた方がいいでしょう。
ルビの振り方には細かなルールが定められている
いかがだったでしょうか。
難読漢字などを読む時、とても便利なルビにもいろいろあることがおわかりいただけたかと思います。
ルビが長いときについては組版ソフトによってもっと細かいルールがあったりするので調べてみると面白いかもしれません。
記者名:ゴナDB
・関連サービス:組版制作サービス