コロナウイルスが世界的に流行してから3年が経とうとしている今、ワクチン接種率が増えたことや徹底した感染対策が広まったことなどから、国内では数か月前まではあまり行われなかったコンサートや展覧会などの開催が徐々に増えてきています。
これは産業見本市や展示会などBtoBメインのイベントでも同じ状況です。
久々にリアルでの開催が増えた見本市・展示会について、どのようなテーマのものが増えているかなどの点をふまえて説明いたします。
見本市・展示会の開催数は年々増えている
コロナが日本で流行りだした2020年は、社会全体が自粛モードだったのも記憶に新しいかもしれません。
今はきちんと感染予防の指示を守っていれば気軽に旅行や外出ができるようになったので、世の中のムードもだいぶ明るくなったように感じます。
実際に首都圏の主要な展示場を見ても、2020年に比べて2022年は明らかにイベント開催数が増えているのがわかります。
イベント開催数 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
パシフィコ横浜 | 72回 | 87回 | 99回 |
さいたまスーパーアリーナ | 81回 | 105回 | 222回 |
幕張メッセ | 113回 | 160回 | 254回 |
東京ビッグサイト | 179回 | 313回 | 519回 |
どの展示場でも2020年中盤から2021年下半期にかけては、月にイベントをまったく開催していないという状況も多かったです。
現在では1ヶ月に20も30もイベントが開催されていたり、名古屋や福岡など首都圏以外での開催も増えたりしているため、企業にとっても見本市などに参加しやすくなったのではないかと言えます。
今後もコロナ禍の状況がより落ち着けば、以前のように多数のイベントが開けるようになり会場も賑わいを取り戻せるでしょう。
”中小企業のDX化”をテーマにした展示会も多い
2018年頃より製造業向けのイベントの中には「DX化」や「IoT」などのデジタル化をテーマにしたものが増えています。
例えば毎年6月に開かれる「日本ものづくりワールド」では9つの展示会の中に、「製造業向けITソリューション」と「製造業のDX化」と「製造業向けIoTプラットフォーム」とデジタル技術に絡んだものが3つ含まれています。[注1]
今年10月に開かれた関西製造業DX展では、誰もが名前を知っているような老舗メーカーから、新進気鋭のベンチャー企業まで様々な企業が、製造業のスマートファクトリー化のためのAI技術やSaaSプラットフォームなどあらゆるジャンルの展示物を出展しました。
しかしその一方で、製造業を営む中小企業の中にはまだDX化が進んでいないところも少なくありません。
DXできていない企業も多い製造業の現状
製造業を営む会社は2020年の時点で国内に200,334社あります。
このうち、資本金が1億円以下の中小企業は全体の95%にもあたる190,760社で、業界の中でも圧倒的に中小企業の割合が高いです。[注2]
人や資金の余裕の少ない中小企業は、抜本的なDX戦略がなかなかできないのが現状です。
全国の中小企業を対象にした調査では、「DXの必要性を理解してるか」という問いに対して製造業は他の業界より「必要だ」「ある程度必要だ」と答えた人が多くいました。
一方で「実際にDX化に取り組んでいるか」という問いに対しては、「すでに実施している」と答えた製造業の中小企業全体の10.6%にしか過ぎず、53.4%の企業が「検討している」あるいは「取り組みたいができていない」と回答しています。[注3]
この事から製造業の中小企業はDXの必要性こそ理解しているものの、なかなか具体的な行動に移せていないところが多いことがうかがえます。
なぜ今、「DX化」が求められているのか
ではそもそも、どうして今「DX」がこれほど注目されているのでしょうか。
企業がDX化することで、主に以下のようなメリットを享受できるようになります。
- 業務をより高速化・効率化できる
- 顧客や業績などのビッグデータを簡単に収集できる
- 法改正など世の中の動きに迅速に対応しやすくなる
- 人員や設備などの管理の手間が軽減する
- BCPの強化にも役立てられる
DXにより生産管理だけでなくほぼ全部の業務体系が、スムーズに進められるようになります。
これからも製造業向けのDXイベントはたくさん開かれる!
2020年にコロナ禍による大打撃を食らった日本の製造業ですが、その後徐々に景気が回復していき、工業製品の輸出量も順調に増えています。
そのため、さらなる製造業の発展を狙うべく来年以降も全国的に多くの企業向けの展示会や見本市が開かれます。
また2022年10月に欧米やアジアなどからの短期滞在に関してビザ無しで入国できるよう規制緩和されたことで今後、日本の中小企業が展示会などを通して外国企業と交流を持つチャンスも増えるでしょう。
将来、自社が発展するチャンスを素早くものにするためには、DX化で企業活動を素早く実行できることも大事なのかもしれませんね。
・関連資料のリンク
[注1] ものづくりワールド公式サイト
[注2] 経済産業省|2020年経済構造実態調査(乙調査)
[注3] 中小機構|中小企業のDX推進に関する調査アンケート調査報告書