学生や新入社員への教育ツールとして活用している企業も多い「eラーニング」。
特にコロナ禍によりテレワークが普及してから導入したところも多いのではないでしょうか。
2021年に矢野経済研究所が行った調査では国内のeラーニングの市場規模は3,300億円ほどともいわれ、2018年からの3年間では1,200億円も拡大しています。[注1]
あらゆる企業が導入を進めているeラーニングについて概要やメリットとともに活用事例をご紹介したいと思います。
「eラーニング」ってそもそもどんな制度?
eラーニングとはPCやスマートフォンなどの端末、インターネットなどの情報技術を使った学習制度です。
大学などの教育機関の授業や企業の社員教育などに使われていて、日本でも2020年以降に普及しはじめました。
eラーニングは電子教材の保管、教材や資料などの配信、学習履歴や出欠記録、個人の成績などをまとめて管理できるため、社員教育を行う側も受ける側も一つのシステムの中で一連の動作を完結させられるようになっています。
そのほかにも社員や学生などがコミュニケーションを持てる場としてフォーラムやチャットなどの機能を備えているものもあり、単に授業を受けるだけでなくお互いに情報交換することでよりeラーニングで学習した内容が理解できるような場であるのも特徴です。
「eラーニング」で授業する側・受ける側のメリット
eラーニングには、授業する側と授業を受ける方の両方のメリットが大きいです。
授業を実施する側には以下の点でメリットがあります。
- 時間や場所に関係なく授業内容を提供できる
- 字幕や翻訳機能を使って外国語話者にも提供できる
- 各生徒の成績や進行状況を管理しやすくなる
- 教材や資料のバージョンアップが簡単になる
一方で授業を受ける側にもこのようなメリットがあります。
- いつでもどこでも好きなだけ授業を進められる
- 一度受けた授業を繰り返せるため復習しやすい
- 教材を準備する手間やコストを省けられる
- 分からないことも自由に講師に質問しやすい
「eラーニング」を導入した成功事例
eラーニングの成功事例①:「和歌山大学」
和歌山大学では2017年よりeラーニングのプラットフォームを導入しており、現在では6,000以上の授業をコンテンツとして提供しています。
大学ではまず必修科目である「データサイエンスへの誘いA/B」をオンライン化させてeラーニングの本格導入に向けて動き出す計画を立てていたのですが、ちょうど同時期に新型コロナが拡大したこともありeラーニングの導入はその後一気に進みました。
この授業ではコンテンツ視聴とレポート提出を義務化しているのですが、レポートは視聴後でしか提出できないため未視聴の状態でレポートを出す不正行為ができないようになっています。
和歌山大学は半数近くの生徒が大阪や兵庫など他県から越県して通学しています。
eラーニングなら長距離通学の負担が減らせやすいため生徒側のメリットも大きいです。[注2]
eラーニングの成功事例②:「オースティン市」
アメリカ・テキサス州の州都であるオースティン市では、2020年春に市の職員がスムーズにリモートワークへ移行できるよう強固なオンライン研修プログラムを構築しました。
eラーニングを用いた「反転授業」(主題について自主的に予習した内容をもとに、生徒が講師やほかの生徒と協力して課題に取り組む形式の授業。)を導入したことで、オースティン市は優れた教育システムを整備させたのです。
プログラミングに関して知見のある職員を中心にわずか1ヶ月ほどでシステムが構築され、25万本もの動画が見られる巨大な学習ツールを実現させました。
eラーニングによる人材教育は瞬く間に市内に普及し、動画を見た職員たちが自発的に研修内容について話し合うなど職員側のモチベーションが上がる効果も出ています。[注3]
eラーニングの成功事例③:「IBM」
大手IT企業のIBMは世界的にいち早くeラーニングのシステムを導入してきた企業です。
同社はもともと社員教育に力を入れてきた企業で、1999年にはすでにeラーニングのシステムを利用していました。
IBMは世界中にオフィスや事業所を持つ多国籍企業なので、あらゆる場所の従業員に等しく社員教育を提供するツールとしてeラーニングは社内に良質な学習環境を実現させました。
eラーニング導入以前のワークショップを中心とした学習システムでは、大量にいる社員をさばききれず研修を受けるのに数ヶ月間待たなければいけない社員も出てきたそうです。
eラーニングの導入によりそうした無駄が省かれたことで、2001年には社員教育のコストを年間3億5,000万ドルほど節約できたといわれており、コストを削減させながらコンテンツを増加・改善させることに成功したのです。[注4]
「eラーニング」は教える側も教わる側も利点が多い
DX化により社員学習のツールとしてeラーニングを利用する企業や行政の数は年々増えています。
eラーニングの活用には「場所や時間に関係なく授業を提供できる、受けられる」「ひとつのシステムで学習に必要な手順をカバーできる」「教材や資料を準備する負担を減らせる」など、授業で教える側にも受ける側にも大きなメリットがあります。
無駄を省いて効率的な社員教育を提供するだけでなく、社員が自発的に学習内容について考えるきっかけを作りやすいeラーニング、DX化の一環として導入を検討してみるのもいいかもしれないですね。
・関連資料のリンク
[注1] 矢野経済研究所|eラーニング市場に関する調査を実施(2022年)
[注2] メディアサイト株式会社│導入事例(和歌山大学様)
[注3] LinkedIn |How LinkedIn Learning is Helping Austin Democratize Employee Development
[注4] MBA Knowledge Base | Case Study of IBM: Employee Training through E-Learning
・関連サービス:動画制作
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