印刷物の見積書の見方がわからない…印刷用語をひとつひとつ解説

印刷物の見積書の見方がわからない…印刷用語をひとつひとつ解説プロモーション

会社でパンフレットやカタログなどの印刷発注を担当することになったけど、届いた見積書に専門用語があって分からない、なんてことはありませんか。

印刷物を発注するうえで見積書にどんなことが書かれているか理解することは、発注ミスを未然に防いだり費用にあわせて最適なかたちで発注したりする上でとても重要です。

この記事では印刷物の見積書に掲載されることの多い印刷用語について、主なものをわかりやすく解説していきます。

見積書に掲載されている主な印刷用語

「面付け」

冊子や書籍などページのあるものを印刷する際、原紙(裁断されていない状態の用紙)に各ページのデータを配置していく作業です。

データの並べ方は製本時の綴じ方などによって複雑に変わるため、現在は専用ソフトなどで自動的に面付けを行うことが多いです。

 

「白焼き」

入稿データの校正が完了すると白焼きと呼ばれるモノクロの冊子を刷って、印刷結果に不備がないか最終チェックをします。

PCから入稿されたデータには文字化けなどが含まれることもあり、白焼きを使った確認は実際の印刷でのミスを未然に防ぐ重要な作業です。

 

「菊判」「四六判」

菊判は日本独自の印刷用紙の寸法で縦939mm・横636mmの原紙です。

A4やA5といったA判の印刷物を印刷する際に使用される用紙のサイズです。

 

四六判は日本独自の印刷用紙の寸法の1つで、縦1091mm・横788mmの原紙です。

B4やB5などB判の印刷物を印刷する際に使用される用紙のサイズです。

菊判とともに古くから用いられた規格のため、印刷会社が用紙の厚さを測る際の基準の寸法にもなっています。

「菊判」「四六判」

 

「流れ目」

印刷用紙の繊維の方向のことで、長辺にそって流れる縦目(T目)と短辺にそって流れる横目(Y目)に分かれます。

印刷や製本のときには流れ目の方向にそって加工することで、折り目のズレやシワの発生がおされられます。

「縦目(T目)」「横目(Y目)」

 

「連」「連量」

連は印刷用紙を規定のサイズで1,000枚重ねたときのまとまりを表す単位で、1連あたりの重量を「連量」と呼びます。

連量は用紙の厚さを表す目安として「コート90kg」のように表記され、kgの数字が大きくなるほどより厚みのある用紙といえます。

印刷用紙の価格には枚単価とkg単価がありますが、商業印刷では一度に大量の用紙を取り扱うことが多いことから、用紙の厚さによるkg単価で金額を決定することが多いです。

 

「刷版」

印刷インキを間接的に用紙に転写するために印刷機にセットして使われる薄い板状の媒体で、「版」とも呼ばれています。

商業印刷に一般的に用いられるオフセット印刷では、円筒状の版胴という部品に巻かれた版から、同じく丸くまかれたブランケットと呼ばれるゴム製の板を経由させて印刷インキを用紙に転写させています。

ブランケットを経由させることで、高速で印刷しても版に傷や汚れがつきにくく、何十回何百回と版を繰り返し使えるようにしています。

 

「台数」「通し数」

印刷した直後の原紙は、複数のページのデータが任意の順番で並べて配置されています。

原紙からぺージの形にして冊子や書籍で綴じるには、まず原紙を半分、さらに半分…と原稿の寸法になるまで折りたたんでいきます。

この折りたたまれた状態の印刷用紙を折丁といい、折丁は1台、2台というように台数で数えます。

また原紙が印刷機を通って刷られた回数を通し数といい、通し数は印刷する部数の合計を原紙に掲載されているページの数で割って算出します。

台数や通り数は印刷費用を決めるうえで重要な基準となります。

 

「CMYK印刷」「4色印刷」

C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)K(ブラック)の4色の印刷インキを用いたカラー印刷で「プロセスカラー印刷」とも呼ばれています。

4色のインキでそれぞれ無数の細かい点(ドット)を用紙に塗布して、濃淡の組み合わせであらゆる色を表現します。

 

「4/4」「4C/4C」「4/0」「1/1」「1/0」

印刷用紙の表側と裏側の色数を表しており、「4/4」や「4C/4C」の場合は表裏両方とも4色カラー印刷という意味になります。

片面だけ印刷する場合は裏側の色数は0となります。

 

「抜き刷り」

すでにある冊子や書籍の内容から一部を抜粋して新たな冊子として印刷することで、
「別刷り」とも呼ばれることもあります。

例えば論文集の中から、特定の著者が書いたものを抜き出して別の冊子として印刷するとき、抜き刷りが行われます。

また近年では新聞会社が希望した記事をまとめて小冊子として抜き刷りして提供するサービスを展開する例も見られます。

 

「化粧裁ち」

ポスターやチラシといった1枚の紙からつくられる印刷物(ペラ物とも呼ばれます)を印刷した後、用紙の上下左右の余白部分が残らないよう専用の機械で裁断することを「化粧断ち」と呼びます。

背景に色がついたペラ物の場合、化粧裁ちにより端の色が抜け落ちて白くなるのを防ぐため、塗り足しと呼ばれる寸法の外側の部分に色をはみ出す形で印刷してから断裁しています。

ちなみに冊子や書籍の用紙は「化粧裁ち」ではなく、ページを接合する部分以外の余白を「三方裁ち」で裁断しています。

 

「折り加工」

リーフレットなどの冊子をつくる際に用紙を折りたたむ際の加工方法です。

折り方によって「二つ折り」「三つ折り」「観音開き折り」など様々な種類がありますが、折りたたんでも印刷した内容が見づらくならないよう、刷版のレイアウトを考慮することが重要です。

 

「並製本」「上製本」

「並製本」は表紙に本文と同じサイズで柔らかめな用紙で製本される冊子や書籍で、ソフトカバーとも呼ばれています。

「上製本」は表紙に本文の用紙よりも固めな厚紙で製本される書籍で、ハードカバーとも呼ばれています。

並製本と上製本の違いとして表紙の紙の材質だけでなく、見返しと呼ばれる表紙・裏表紙と本文を接合させるための用紙を装丁したり、物によってはスピンと呼ばれるしおりのひもをつけたりすることが挙げられます。

印刷物のジャンルなどで並製本と上製本を作り分けることは基本的にありませんが、上製本のほうが重厚感がある分、高級感のある見栄えに仕上がりやすいです。

 

「共紙」

表紙と本文に同じ印刷用紙を使用することです。

用紙のコストがおさえられて表紙ごとまとめて印刷できることから、フリーペーパーやパンフレットなどを素早く安価で準備する際などで用いられています。

 

「扉」「見返し」「背」

「扉」は表紙を開いたときに最初に現れるページ、「見返し」は表紙・裏表紙と本文の間のページです。

「背」は折丁を綴じる本の側面の部分で、一般的には本棚に閉まってあっても分かるようにタイトルや著者名などが記載されます。

ハードカバーの表紙で作られた書籍の場合は、背の形状から「角背」「丸背」とも呼ばれます。

「扉」「見返し」「背」

 

「中綴じ」

本を開いた状態で用紙を重ねていって、背の部分をホチキスや針金などで綴じる製本方法です。

薄い冊子でも平坦に開きやすい点からリーフレットなどページ数の少ない印刷物に適しています。

中綴じに似た方法に台本やしおりのように、表紙から垂直に綴じる「平綴じ」があります。

「中綴じ」「平綴じ」

 

「無線綴じ」

折丁をページ順に並ぶよう折りたたみ、背の部分を削って接着剤で表紙にくっつけて綴じる製本方法です。

中綴じに比べて接着力が強いことから、ページ数の多い印刷物に適しています。

無線綴じに似た方法として網目状に切れ込みをいれて部分的にページをつなげて強度を増した「アジロ綴じ」があります。

「無線綴じ」

 

「箔押し」「空押し」

印刷用紙にシート状の箔をはさみ凸版(印刷する部分が盛り上がっている形状の版)を押し付けて、文字や模様を転写する加工を「箔押し」といいます。

また凸版だけ押し付けることで模様を残す加工を「空押し」といいます。

似たような加工方法に「エンボス」「デボス」がありますが、こちらは凸版と凹版(印刷する部分がくりぬかれた形状の版)で用紙を挟んで加工するため手順が異なります。

 

見積書にある専門用語から印刷の工程が見えてくる

印刷の見積書には校正、刷版、印刷、加工、製本など印刷物をつくる過程の様々な手順に関する印刷用語が使われています。

今回、紹介したもの以外にも、印刷用紙の種類に関する用語や、刷版を製造する作業工程の用語など、印刷業界では本当に数多くの専門用語が使われています。

こうした専門用語を理解していると、よりトラブルになりにくいスムーズな印刷発注がおこなえるでしょう。

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