こんにちは、ようちゃんです。
突然ですが、皆さんは4色刷りという言葉を知ってますか。
今日初めて聞いたという方も多いんじゃないでしょうか。
今回は4色刷りにおける『黒色』について説明いたします。
「4色刷り」ってそもそもどんな意味?
4色刷りとは青色、赤色、黄色、黒色の4つの刷版を使ってフルカラーで印刷すること。
浮世絵などの昔ながらの版画って、塗る色ごとに別々の刷版をセットしながら一枚の絵を描いてますよね。あれと原理的には似たような感じです。
4色刷りはそれぞれの色の頭文字から「CMYK」とも呼ばれています。
ちなみに黒色を表す「K」は「BlacK」の”K”だとも、黒色の刷版を指す「Key plate」の”K”だともいわれています。
普段オフィスや家庭で使っているプリンタやコピー機などは、このCMYKによる4色刷りを取り入れています。
CMYKの4色のうち、青色、赤色、黄色の3色は「色の三原色」と呼ばれています。
きっと学校の理科や美術の授業で「光の三原色」とともにセットで習わされた人も多いんじゃないでしょうか。
「光の三原色」は三つの原色を混ぜあわせると明るくなり白い色に近づきますが、CMYKなどの「色の三原色」は三つの原色を混ぜ合わせると色が濃く暗くなり黒い色に近づきます。
両者は似て全く非なるものなので、間違えないように気を付けてくださいね。
「CMYK」に”K”(黒)があるのはなんで?
ではなんでCMYKの4色刷りでは、光の三原色のほかに黒色も使われているのでしょうか。
その答えを簡単にまとめると「CMYだけでは、完全な黒を表現できないから」です。
理論上は、CMYをすべて混ぜ合わせることで黒い色は表現できるといわれています。
しかし実際に絵の具やインキを混ぜ合わせてみると、黒ではなく濁った茶色っぽい色にしかなりません。
そもそも色というのは、光が物体に反射したときに特定の波長の光が反射することで見えてきます。
きれいな黒色を出すにはすべての波長の光を吸収する性質が必要なのですが、CMYのインキを混ぜただけでは、それぞれのインキの不純物により光を吸収しきれずはっきり黒い色にはならないといわれています。[注1]
それっぽい黒色は出せますが、多量のカラーインキを使わないといけないため非効率的なため、最初から黒専用のインキを新たに追加することで、よりスムーズに印刷できるようにしました。
プリンターやコピー機も基本インキは4色だよね!
4色刷りの印刷では色んな”黒”を使い分けている
印刷で濃い黒色を表現するには、CMYKを使いこなすことも重要です。
実は印刷における「黒い色」には、以下の3つの種類があります。
- スミベタ
- リッチブラック
- 4色ベタ
「スミベタ」はCMYKのうち、黒色の濃度だけを100%に設定して、黒く印刷するストロングスタイル。
他の色を一切使わず純粋な黒い色を出せるので、細かい文字列などをくっきり印刷したいときに使われます。
しかし文字の背景を別の色に設定している場合、印刷時に刷版の細かなズレにより以下のような隙間が生じてしまうことがあります。
そこで、通常は背景色の上に黒色を上乗せするような「スミノセ」あるいは「オーバープリント」とよばれる状態にすることで、隙間を出さないようにしています。
「リッチブラック」は黒色100%の状態で、他のCMYの色を付け足して表現する黒色です。
複数の背景色や模様の上にスミノセすると、背景色が黒色と干渉してしまい表示される色に差ができることがあります。
リッチブラックはどの刷版でも文字の背景はベタ塗りになるため、このような現象を防いで印刷できます。
細かな模様などの印刷には適していないため、通常は大きなサイズの文字などの印刷に使われます。
「4色ベタ」はCMYKすべてを100%の濃さにして黒色を出すため、もっとも濃い黒色を表現できます。
しかし、その分大量のインキを紙に乗っけることになるので、インキが乾かなかったり、インキが裏写りしたりする原因となります。
インキを無駄に消耗することにもなるので、明確な意図がない限りは使われません。
「リッチブラック」でもインキを使いすぎないよう、CMYK4色の濃度の合計が350%以内におさまるよう、通常はそれぞれの濃さを調整しています。
スミベタなどについては、こちらの記事も見てくださいね!
完全な黒を追求するための「4色刷り」
フルカラー印刷では、シアン・マゼンタ・イエローの「色の三原色」に黒色を付け足した4色で多彩な色を表現しています。
完全な黒色が色の三原色だけでは表現できないから、新たに黒色が追加されてCMYKになったというのは面白いですね。
しかもより濃い黒色を出すには、他の3つの原色も混ぜ合わせるというのは意外に感じました。
色の世界、まだまだ奥が深そうです。
・関連資料のリンク
[注1] エックスライト:Additive vs. Subtractive Color Models
・関連サービス:高精細印刷