“ショールーミング”という言葉、聞いたことありますか?
これは買いたいものがある時に店頭で商品をチェックして、ネットでその商品を購入するという行為です。
お店にとってショールーミングは、商品を買ってもらうチャンスをネット通販サイトに奪われることになるのでできるだけ避けたいもの。
そこで今回はショールーミングについてまとめて、お店の人が対策を立てるにはどうすればいいか説明いたします。
小売店にとって痛手となる「ショールーミング」
ショールーミングは世界的なスマートフォンの普及とともに、見られるようになりました。
民間の調査会社・ディムスドライブが2012年に実施したアンケート調査によれば、4,987人の回答者のうち「ショールーミングを経験したことがある人」は全体の4割を超えており、スマホでネットショッピングしている方に絞れば半数以上の方が経験しているという結果になりました。[注1]
アメリカ広告業協会が実施した別の調査結果によればと、ショールーミングを行う理由として多く挙がったのは「店舗よりオンラインが安く買えるため」(約72%)や「オンラインで買う下見のため」(45%)といったものでした。[注2]
先ほどのディムスドライブでの調査結果でも、ネットショッピングのメリットとして多くの方が「価格の安さ」と答えていました。
大妻女子大学での別の研究結果では、ショールーミングをおこなう心理的要因について挙げています。
消費者はネット上での商品説明だけ見ても、商品に対する品質や機能などへの不安がぬぐい切れず購入に心理的不安を感じるようです。
そうした不安を減らすためにショールーミングで実物を見るのではないかというものです。[注3]
ショールーミングを行う人には「価格をおさえて買い物したいが、購入前に一回実物を見ておきたい」という気持ちがあるといえます。
国内外のショールーミングによる被害
多くの来客者がショールーミングを行ったせいで会社が倒産しかけた事態もあります。
日本でもかつて都市部に店舗を持っていたレコードショップ・HMVはショールーミングの最初の被害者といわれ、2013年に一度破産手続きを受けています。[注4]
またイギリスのカメラ販売チェーン・ジェソップ社はショールーミングが流行したことが影響し、2013年には187店舗全店が閉店して1,370名もの社員を解雇するまで経営状況が悪化してしまいました。[注5]
ショールーミングにより小売業の売上は以前に比べて10%も低下しているといわれており、現在にいたるまで多くの会社が様々な対策を打ち出してきました。
ショールーミングへの各社の対処法
対応事例① QRコードを活用した「ヨドバシカメラ」
ヨドバシカメラはショールーミングをあえて販売戦略に取り入れることで、自社のネット通販サイト「yodobashi.com」の売り上げを大幅に増加させました。
2012年からヨドバシカメラではすべての商品の値札にバーコードを掲載して、スマホで読み取ることでyodobashi.comに直接アクセスできる仕組みを導入しています。
通販サイトの商品ページでは、商品のレビューや売上ランキングからメーカーの別商品や競合メーカーの商品もすぐ調べられるだけでなく、商品を直接ネットで購入できます。
この仕組みで他のネット通販サイトに客が流れるのを防いでいるんですね。
もともとネット通販に力を入れていて大手ネット通販業者にも負けない業績をほこる、ヨドバシカメラならではの画期的なアイディアですね。[注6]
対応事例② ネットとリアルを融合させた「ABCマート」
店舗で商品を見てネットで購入するショールーミングに対し、ネットで商品を見てから店舗で購入することは「ウェブルーミング」と呼ばれています。
靴小売業最大手・ABCマートではこのウェブルーミングを活用したマーケティング戦略で、大幅に売り上げを伸ばしています。
ネットでは靴の形状や他人からの評価は見えますが、実際に履いた感触まではわかりません。
そこでABCマートではECサイトから最寄りの店に商品の手配を予約して、店頭でサイズなどを調整してもらってから購入できるようにしました。
実際に店舗に行ってもらうことで、アクセサリーやソールなど靴以外のグッズもついでに買えることができると考えたら、お店にとってもお客さんにとってもいい試みだといえますね。[注7]
ショールーミングを「あえて活用する」手もある
小売店にとって、ショールーミングに対抗できる最良の手段は「ショールーミングを逆に活用すること」だといえます。
かつて欧米ではショールーミングの対策として、入店料をお客さんに課して商品を店頭で買ったら返金するという試みも行っていました。
しかし来客数が減少するおそれもあるため、お店によってはやりたがらないところもあったそうです。
バーコードやQRコードを駆使して店頭の客を自社のサイトに導いたり、反対に自社のECサイトから店頭に客を誘い出すような仕組みを作れば、ショールーミングを逆手に取ってマーケティングに活かせるかもしれませんね。
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・関連資料のリンク
[注1] ディムスドライブ:『店舗とネット比較検討・消費行動』に関するアンケート
[注2]Statista : Showrooming in the Retail Environment
[注3] J-STAGE:アパレル商品を購買するマルチチャネルショッパーのリアル店舗内行動の考察
[注4] Independent Ireland :HMV Ireland goes into receivership
[注5]Independent UK : As Jessops closes, we continue to mourn the dying high street…
[注6] デジカメ Watch:ヨドバシカメラ、店頭展示の全商品にバーコードを表示。スマホ読み取り可能に
[注7]Impress :ABCマートが進めるオムニチャネル戦略とは
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