2021年をマーケティングの観点から振り返ってみよう

2021年をマーケティングの観点から振り返ってみようプロモーション

2021年も色々あった年でしたね。

コロナ禍関連のことや東京オリンピックのニュースを毎日のように目にしましたが、今年ヒットしたものも数多くありました。

今回は2021年のトレンドからマーケティングに役立てるポイントを見ていきたいと思います。

① 昭和ブームを活かした「西武園ゆうえんち」

埼玉県所沢市にある西武園ゆうえんちは、「昭和ブーム」を活用して成功した遊園地です。

1950年開園した歴史ある遊園地ながら、大型テーマパークの登場や施設の老朽化などで客足が遠のき、1988年に194万人あった年間来場客数も2018年には4分の1ほどの49万人まで減少。[注1]

そこで過去に大手テーマパークを再建させた実績を持つマーケターの森岡毅氏を抜擢し、園内を大幅にリニューアルしました。

特に森岡氏が重点に置いたのはエントランスそばにある「夕日の丘商店街」。

以前、屋外のスケートリンクがあった場所を、昭和30年代の雰囲気を感じられるショッピングエリアに改装しています。

古くからあるアトラクションもそのままの姿で残すことで、昭和の雰囲気を演出して来場者に「古さ」ではなく「懐かしさ」や「エモさ」を感じさせられるようにしています。

また3か所あった入り口をあえて夕日が丘商店街近くの1か所だけにすることで、パークを出るときまで昭和感に浸れるようにしています。

西武園ゆうえんちは、今あるものをうまくトレンドにあわせて活用して話題性を生み出すいい例となりました。

 

② 絶えずファンを沸かせた「シンエヴァ」

2021年3月に公開された「シン・エヴァンゲリオン劇場版」は4ヶ月もの公開期間を経た最終的な興行収入は100億円を突破し、今年一番ヒットした映画作品といっても過言ではありません。

当初の予定では2020年6月に公開される予定でしたが、コロナ禍により公開が何度も延期する事態に。

それでも大ヒット作品となった要因の一つが、ファンを飽きさせない数多くの公式側のアクションです。

公式スタッフはファンの熱気が低減しないよう、SNSアカウントを開設して制作状況や裏話などマニアックな話題を投稿し続けました。

またシンエヴァは新劇場版四部作の最終作となる作品ですが、過去の三作品をAmazonプライム・ビデオで配信することで、今まで作品に触れなかった新規のファンが”予習”して最新作を見るというケースも多くみられました。

また公開日が緊急事態宣言により二転三転したため、公開後のマーケティング方針も即興で変更しないといけなくなり、キャンペーンを公開開始にまとめてではなく公開してから断続的に行うこととなります。

そのため、公開開始後しばらくしてから入場者特典である「シンエヴァの薄い本」を配布するなど、通常ではありえないプロモーション活動がおこなわれましたが、それによりかえって熱狂的なリピーターを生み出すことに。[注2]

大ヒットの裏には、ファンの心をずっと離さないためのマーケティング施策があるのかもしませんね。

 

③ バイラルメディアで火がついた「イカゲーム」

最後にユーザー発信で世界中に拡散された今年のトレンドを1つ紹介します。

Netflixで今年9月から配信された韓国のサバイバルドラマシリーズ「イカゲーム」は、37ヶ国語もの字幕版、34ヶ国語もの吹き替え版で全世界に配信したことで、配信した全ての国で視聴回数1位を記録する大ヒット作品となりました。

実はイカゲームに関してNetflixはアメリカ国内で積極的なプロモーション・宣伝活動を行いませんでした。

それにも関わらずここまで流行したのはSNSの口コミ効果が大きな理由です。

イカゲームが配信開始されるとTwitterやTik TokなどのSNSで感想やコメントの投稿が急激に増えて、あっという間に拡散されました。

このようにすぐに口コミが拡散されるメディアを「バイラルメディア」と呼ばれ、イカゲームはバイラルメディアで制作側の予想以上に人気が高まったコンテンツといえます。

イカゲームの人気はすさまじく、ハイネケンやVISAなど作品と関係のない企業が数多くパロディの広告をつくりだすまでとなりました。

バイラルメディアにより思わぬ大ヒットが急に生まれる一方で、否定的な評判があれば瞬時に拡散される恐れもあるので、SNSでの口コミは逐一確認することが重要といえますね。[注3]

 

まとめ

2021年はコロナ禍で娯楽業界が冷え込んだ昨年に比べて、あらゆるジャンルでトレンドやヒット作がうまれた年です。

それぞれの流行が生まれたマーケティング的な要因をおさらいしてみましょう。

西武園ゆうえんち「今あるものを流行にうまく応用させる」
シンエヴァ「ユーザーの心をつなぎとめる演出を心がける」
イカゲーム「バイラルメディアでの評判はできるだけ確認する」

まとめてみると意外とシンプルなような気がします。

来年も皆様のお役に立ちそうなマーケティングの情報をコムデザで配信していけたらなと思います!

 

・関連資料のリンク

[注1] 西武園ゆうえんち:70 周年記念事業として 西武園ゆうえんちのリニューアルを決定
[注2] 電ファミニコゲーマー:庵野監督がNHKの番組で見せた“一見すると無茶苦茶にも見える行動”も実は合理的? 『シン・エヴァ』100億円突破から見える、庵野監督の合理性とマーケティング力
[注3] Conviva :Netflix and Squid Game: Using Viewership Data to Win the War on Engagement

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