不確実性の時代だから、アートにヒントを。
いつ起こるか分からない台風や洪水などの自然災害、そして直近のコロナ禍など、私達を取り巻く環境は以前とは違って、「予測不可能」なことで状況が変わり続ける『不確実性の時代』のものになってきました。
ビジネスの世界でも急な経済環境の変化への対応に、今までの知見やメソッドが通じにくくなってきているようです。
最近のトレンドは、そこにデザインの考え方を導入することで解決していこうという流れもありますが、アートや哲学のセンスや考え方・バックグラウンドが『不確実性の時代』を乗り切るヒントになる考え方と取組をご紹介します。
絵を見て思った事を言葉にしてみる
VTS(Visual Thinking Strategies)というメソッドがあります。[注1]
美術館や教室で1枚の絵を見ながら自由な発想で感じた事やテーマを鑑賞者同士で対話しながら読み解いていくものです。
結論は必ずしも絵の作者の構想通りでなくても良いのです。
その時集まって対話をしたメンバーの中から導き出された、新しい解釈や気付きが大事なのです。
この考え方や体験が『不確実性の時代』を乗り切るヒントになると、ビジネスの世界でも近年注目度が上がってきています。
このテーマを扱ってビジネス書のベストセラーになった書籍も出てきました。[注2]
美術館で対話をしながら鑑賞してみよう
「絵を見ながら話合う体験に、気づきやメリットが多いらしい。でもそんなのサークルにでも入らないと機会が無いかも。そもそも美術館は一人で行って、静かに黙っている所だし…」
そんな風に思う方も多いかもしれません。
しかし、美術館が実施しているガイドサービスの中には「対話鑑賞」を行っている所もあるのです。
例えば、東京国立近代美術館は所蔵品ガイドを対話型で毎日実施していました。
コロナ禍の現在はオンラインで実施中です。 [注3]
東京都美術館が主催する「アートと対話する」ガイドツアー
東京都美術館でも「とびらプロジェクト」の一環としてボランティアスタッフによる「対話型鑑賞ガイドツアー」が実施されています。 [注4]
まずはオンラインから始めてみて、対話型鑑賞とはどんなものなのかを体験してみることをお勧めします。
「自由に発言する、人の意見をよく聞く、決して否定をしない」を守りながら、絵について参加者と対話していく。
もちろんそこには訓練されたナビゲーターのファシリテート能力も重要になってきます。
思いもよらない他人の気付きや発想が、ビジネスの課題解決のヒントのきっかけになるかもしれません。
美術館での対話が思いがけない発見につながることも
世の中の状況も、だんだんと様々な催しが注意深く再開されつつあります。
美術館のガイドも今はオンラインメインですが、実際に展示室の中で作品を鑑賞しながらの対話は特別感もあって、様々な気付きやビジネスの課題解決のヒントになりえる経験となるのではないでしょうか。
是非、お近くの美術館で対話型鑑賞ガイドが催されているか調べて、参加してみることをお勧めします。
・関連資料のリンク
[注1] 京都造形芸術大学:「コンセプト | VTSJ Visual Thinking Strategy Japan」
[注2] 光文社:「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」
[注3] 東京国立近代美術館:「オンライン対話鑑賞ーMOMATガイドスタッフによる所蔵品ガイド」
[注4] 東京都美術館×東京藝術大学:「とびらプロジェクト」
・関連サービス:美術印刷「美巧彩」