貴重な「鯰絵」をポストカードに
当社WEBサイトの美術印刷「美巧彩」の事例をご覧になり、東京大学地震研究所様より所蔵の鯰絵をモチーフにしたポストカードを制作したい旨、ご相談を頂きました。
東京大学地震研究所というと大きな地震が発生した時に気象庁と並んで記者発表をしている事で、ご存じのかたもいらっしゃると思います。
実際に訪問してみますと、地盤や地殻の科学的な研究ばかりではなく、地震や噴火・津波等の災害にまつわる民間伝承や古文書の収集も行っており、「鯰絵」という鯰をモチーフにした錦絵のコレクションを保有していることが分かりました。
この貴重な鯰絵を小さなポストカードに美しくプリントしたい、そのようなご要望でした。
小さなポストカードに緻密に再現する
アーカイブのなかから今回印刷する絵柄のデータをご提供いただき、検証をすすめていきます。
鯰のヒレの細かい表現、墨色の表現、また背景には絵柄を説明する解説文も細かく描き込まれています。
これを小さなポストカードに緻密に再現するには高精細美術印刷が最適と判断し、次のステップとして用紙の選定とテストプリントを行いました。
当初は錦絵感の演出を意識した表面触感が和紙風の用紙も候補に上り、実際のテストも行いました。
結果は微細な表現や墨色の再現には不向きであることが判明し、通常のアートポスト用紙に着地しました。
コミカルかつ美しい、しかし当時の風俗を伝える貴重な資料
今回、ご依頼いただいたポストカードの絵柄は、「地中に棲む鯰が地震を起こす」という伝承を擬人化して錦絵にしたものです。
有名な格言「地震、雷、過事(火事)、親父」や、どの地域の鯰が暴れたのか裁きを受ける順番を待っている様子など、自然災害を恐れながらも身近に暮らしていた江戸期の庶民の様子が窺える作品です。
これを精緻にポストカード化して伝える事も、文化的に意義深いことであると思いました。
当社では歴史的価値のある貴重な美術作品や資料の美術印刷図録やグッズの製作のみならず、1点からの複製制作も承ります。
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