2025年2月28日から2週間にわたり、東洋美術印刷本社1Fの自社ショールーム ii-Crossing(イイクロッシング)にてART PRINT LABO 2025展を開催いたしました。
美術印刷技術の実証と研鑽の発表会、2025年度は通算3回目の開催となり、テーマは「デジタル印刷による小ロット美術印刷の可能性」とし、過去開催の高精細・広演色オフセット印刷に迫る再現性を持つ、デジタル小ロット印刷を特集しました。
昨年末より富士フイルムビジネスイノベーション製のデジタル印刷機「Revoria Press PC1120」を活用し、美術アーティストとともに試験的にデジタル複製画の実証試験を重ねた結果、オフセット美術印刷と遜色なく、しかも1点からの小ロットでプリント可能なデジタル美術印刷に我々は可能性を感じ、ART PRINT LABO 2025展として発表となりました。
デジタルが活きるRGBワークフロー
作品プリント制作には、作家ヒアリングや色彩検証、作品現品との色合わせなど東洋美術印刷の美術印刷ソリューション「美巧彩」を活用して入力・調整・出力の各パートを行います。
オフセット印刷との違いは、一度に500部〜1,000部刷りあがってからのさらなる調整が、1部から結果が見られるレスポンスの良さ。
また通常印刷で用いられるCMYK:ジャパンカラーではなく、RGB印刷ワークフローを導入することで色域と彩度の高い仕上がり方向になります。

ピンクやシルバー、ゴールドなどの特色トナーによる更なる表現の広がり

「Revoria Press PC1120」にはピンクやシルバー、ゴールドなど特色トナーが搭載可能。
特にピンクを追加することでオフセットの広演色印刷に迫る再現性が実現でき、作品協力頂いたアーティストにも好評でした。
また、今回の新機軸にてモノクロ写真のシルバートナー入り表現にトライしました。
スミ+シルバー(ハイライト部)、さらに黒い用紙にシルバーのみのネガ版プリントにも挑戦。
ご来場いただいた方の注目度も高く、用紙色やトナーユニットの変更で表現の方向や表紙カバーなど用途の幅を感じられると好評でした。

デジタル美術印刷のメリットとデメリット
広演色オフセット印刷に迫る「Revoria Press PC1120」は出力サイズがA3ノビまで、ポスターなど大判出力は従来通りオフセット広演色印刷が適します。
デジタル美術印刷はサイズは小さくても調整や変更のレスポンスが良く、すぐに結果が確認できるメリットがあります。
また20〜50部といった少部数のミニ図録やART系ZINEに用いるのが適していると感じます。
デジタルもオフセットも、拡がる美術印刷の表現
実証展示から見えて来たのは、小サイズ・小ロットならデジタル美術印刷。
500〜1,000部相当の枚数ならオフセット美術印刷といった使い分けが今後多くなってくるのではないかとの見通しが予想されます。
どちらをお勧めするか、どんな表現方法を求められているのか、どのような仕上がりを希望されているか、しっかりとヒアリングセッションを重ねることが「美巧彩」の基本と考えています。
今後も弊社で開催する展示会やイベントの様子を、コムデザの記事として紹介していきたいと思います。
・関連サービス:美術印刷「美巧彩」