大学や研究所などで自身の考えや研究成果を掲載したコンテンツとして公開される研究論文。
日本は論文の提出数で世界4位という論文大国でありながら、その論文への注目度は近年、新興国に抜かれてきていると言われています。[注1]
論文をより多くの人に注目してもらうためには、まず論文の内容に興味を持ってもらうことが大切です。
特に論文の中身を概要のような形でまとめて的確に伝える文書として「予稿集」「要旨集」「抄録集」を作成するのが効果的です。
しかしこれらの言葉の意味すらよくわからないという人もいるのではないでしょうか。
そこで、今回は言葉の微妙なニュアンスの違いを中心に解説していきたいと思います。
「予稿集」「要旨集」「抄録集」それぞれの違いについて
「予稿」・「予稿集」とはどんなもの?
予稿(Preprint)とは学会などの論文発表時に参加者に配布されたり発表原稿として使われたりしている文書です。
また中間発表などで用いられる原稿も予稿と呼ばれることがあります。
予稿集を読む方の中には論文の内容について専門外という人も少なくなく、要旨集や抄録集よりも分かりやすくまとめることが必要です。
文字数は一般的にA4サイズの原稿1~2枚分におさまる程度で1,500~2,800字のものが多いです。
「要旨」・「要旨集」とはどんなもの?
要旨(Excerpt)とはもともとは内容をまとめたものという意味があり、学術論文を書いた目的・調査方法・考察などについて短くまとめた文書のことを指しています。
論文の内容を分かりやすくコンパクトにまとめるため、本稿の内容から逸脱しない程度に表現を削ったり別の表現に置き換えたりできます。
複数の要旨を一冊にまとめたものが要旨集です。
要旨は200~400字の文字数で書かれることが多いです。
「抄録」・「抄録集」とはどんなもの?
抄録(Abstract)とは本稿の概要を抜粋して表現を変えずに短くまとめた文書です。
抄録は「指示抄録」と「報知抄録」の2つに分かれていて、指示抄録は論文のテーマなどを端的にまとめたものです。
報知抄録は論文を作成した目的・調査方法・考察などをまとめたものです。
指示抄録の文字数は60~70字ほど、報知抄録の文字数は長くても400字ほどとほかの2つのものよりも短く書かれることが一般的です。
ただし上記の文章の文字数や書き方には、学術機関ごとに決まりが違ってくるので、事前に必ずローカルルールを把握しておきましょう。
ちなみにどの文書でも基本的な本文の構成は以下のようなものが多いです。
- 研究調査の背景
- 研究調査の目的
- 研究調査の方法
- 研究調査の結果
- 考察
- まとめ
モノクロな資料こそカラーにすると効果的
ところで抄録集などの書類を作成するとき、モノクロ印刷で準備する人も多いかと思います。
コンビニなどのコピー機の価格表を見ても、カラー印刷に比べてモノクロ印刷のほうが安く、価格面でモノクロ印刷を選ぶことって多くないですか。
しかしグラフや画像などが入っている場合、カラー印刷で準備したほうが情報の伝わりやすさはぐんと上がります。
社会科学の論文でも使われやすい地図を例にして見てみましょう。
以下のような複数の色を使い分けている地図画像では、モノクロとカラーで見やすさに大きな差が出ています。
論文は自分が今まで頑張って調べて考えた成果をまとめたもの。
図表がモノクロで見えづらいせいでせっかく準備した情報が伝わりにくくなってしまえば、もったいないですよね。
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論文にまつわる文書、種類ごとに用途も異なる
普段生活するとなかなか目にする機会のない学術論文。
さらに予稿集になるとさらに馴染みのない人も多いでしょうが、それぞれの違いを見てみたらどんな目的で作られた文章かイメージできたかと思います。
こうした似たようで目的の違う文書って、他にも色々な業界にあるので調べてみると面白いですよ。
今後も、印刷やマーケティングなどにまつわるややこしい表現の違いを今回のように記事で紹介していきたいと思います!
・関連資料のリンク
[注1] 科学技術振興機構「論文数は世界4位だが注目論文数は10位に後退 今年の「科学技術指標」」
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