オンデマンド出版によるサービスを立ち上げた出版業界の事例・10選

オンデマンド出版によるサービスを立ち上げた出版業界の事例・10選プロモーション

一般的な商業出版では1部あたりの制作コストをおさえるため、書籍を大量生産・大量販売のスタイルで制作しています。

しかし現在、様々な理由から受注にあわせて少部数だけ出版して販売するオンデマンド出版のサービスを導入している企業が増えています。

本を出版する会社だけでなく、本を買う側や本を出す側にもそれぞれメリットがあるオンデマンド出版。

今回はこのオンデマンド出版のメリットをおさらいしながら、オンデマンド出版による新規サービスを手がけている企業や団体の例を見ていきます。

 

オンデマンド出版を展開する企業が増えている背景

現在、一般の方でも1部から気軽に書籍を受注販売できるオンデマンド出版のサービスを手掛けている出版社や大手書店チェーンが増えています。

オンデマンド出版による印刷は本の出版者だけでなく、読者や作者にもそれぞれメリットがあります。

出版者は余分な部数を発行しなくて済むため、印刷用紙の値上げなどの理由で近年高騰している印刷コストをおさえた出版ができるほか、余剰分の在庫を管理したり処分したりする手間が省けます。

本を購入する読者にとっては、店頭には並ばない昔の書籍も出版社がオンデマンドで受注生産することで購入できるようになります。

本を出す作者にとっても、少部数で出すことでより費用をおさえた自費出版が可能になるというメリットがあります。

あらゆる点においてかゆいところに手が届くようなオンデマンド出版、ここからは実際に活用したサービスを10個ほど紹介します。

 

オンデマンド出版を活用したサービスを展開している10個の事例

事例その1:Amazon出版

Amazon.comが運用している出版サービス、Kindle Direct Publishingではオンデマンド出版を用いてペーパーバックの形でオリジナルの書籍を制作・販売することができます。

1冊単位で発注が可能な点や、108ページ以内のボリュームなら初期費用しか発生しない点から手頃に利用できるのが特徴的です。

制作した書籍は世界各国のKindleのネットストアで販売することができて、世界規模で展開しているAmazon.comならではの強みを生かしたサービスといえます。

 

事例その2:三省堂書店

全国に店舗を展開している書店チェーンの三省堂書店では、注文に応じてオンデマンド出版により書籍を受注販売する「三省堂書店オンデマンド」というサービスを行っています。

注文は店頭か楽天市場・Yahoo!ショッピングのサイトにて受け付けており、2024年11月の時点で2万種類以上の書籍の出版に対応しています。

また市販されている書籍以外にも、自費出版によるオリジナルの書籍の制作にも対応しており、書店の立場から最適な形でプロデュースしてもらえます。

 

事例その3:青空文庫

青空文庫は国内外の著作権が切れた有名な文学作品などを数多くアーカイブとして無料で公開しているサイトです。

青空文庫ではサイトで公開されている文学作品を本の形で読みたいという方のために、オンデマンド出版による書籍の販売サービス「青空文庫POD」を展開しています。

書籍として購入する際には「大活字版」「シニア版」「ポケット版」の3種類のサイズから、文章の見やすさや本としての運びやすさなどを考慮しながら選べるようになっています。

 

事例その4:日本ヴォーグ社

日本ヴォーグ社は「キルトジャパン」や「ニットマルシェ」といった、手芸関連の雑誌や書籍を長年手掛けている出版社です。

日本ヴォーグ社では過去に発売されていた書籍のオンデマンド出版による販売を行っており、基本的な糸の編み方の教材本から実際に衣服を作る手順をまとめた本までさまざまな書籍の受注販売をおこなっています。

きめこまやかな模様や小さい文字の説明もはっきり印刷されており、復刻本ながら読みやすさは新書とさほど変わらないでしょう。

 

事例その5:法蔵館

法蔵館は1602年に京都で創業された書店をルーツにもつ、浄土真宗を中心に様々な宗派の仏教関連の書籍を扱っている歴史のある出版社です。

現在、法蔵館では過去に販売されていた講話集や仏教用語の辞典などの書籍を、オンデマンド出版により復刻本として販売する事業を行っています。

法蔵館のように仏教や神道に関する書籍を専門的に販売している出版社の中には、オンデマンドで専門書の受注販売を行っているところも少なくありません。

 

事例その6:三栄

三栄は自動車やモータースポーツ、トレッキングなどホビー関連の雑誌を中心に販売している出版社です。

これまで売っていた雑誌を復刻本として販売する「復刻堂」というブランドを立ち上げており、過去に撮影された自動車の写真をまとめたフォトアルバムを完全受注で販売するサービスをオンデマンド印刷で行っています。

今では走っていない40年も50年も前の車種の貴重な様子を見られる内容となっており、自動車好きにはたまらない一冊を購入できます。

 

事例その7:近代科学社

近代科学社は大学生・高専生向けの教科書など理数工学に関する学術書を数多く手がける出版社です。

ニッチな需要のある学術書をスムーズに購入できるよう、近代科学社では注文に応じてオンデマンド出版で書籍を制作して電子書籍版とともに提供する「近代科学社Digital」というサービスを展開しています。

自費出版による専門書作成の支援サービスも手掛けており、原稿作成から店頭販売まで手厚いサポートを受けながらオリジナルの書籍をつくれるようになっています。

 

事例その8:ニューサイエンス社

ニューサイエンス社は明治24年に開業した出版社・北隆館の姉妹会社として設立し、主に動植物や考古学などに関する雑誌や図鑑などを中心に販売しています。

ニューサイエンス社を代表する雑誌である「グリーンブックス」と「考古学ライブラリー」は、在庫分の売り切れ次第、オンデマンド出版による受注生産による販売を行うようになっています。

書籍を購入したら自宅に直接届けてくれるため、書店まで受け取りに行かずに済むようになっています。

 

事例その9:昭文社

昭文社は「まっぷる」や「ことりっぷ」などの旅行ガイドブックや地図帳で知られている出版社です。

地図製品に関して以前より「より大きなサイズのものがほしい」「折り目のない地図がほしい」といった意見があったため、昭文社では様々なオプションによりカスタマイズされた内容で地図をオンデマンド出版により受注生産するサービスを行っています。

地図のラミネート加工などにも対応しており、緊急時の携帯用や展示用など用途にあわせた特徴の地図を購入することができます。

 

事例その10:広島大学図書館

広島大学は、2012年にオンデマンド方式を用いた印刷システム「EBM」を国内の大学で初めて導入しています。

EBMによるオンデマンド出版を活用し、大学図書館では原稿データをもとに短時間で書籍を制作するサービスを始めています。

このサービスは広島大学の生徒や教職員を対象としたもので、EBMで作成した書籍が大学出版会の審査に合格すれば、自身の書いた論文や研究レポートなどを大学売店で販売できるようにもなっています。

 

オンデマンド出版は狭い需要に応えるのに適している

オンデマンド出版は少部数を無駄なく効率よく書籍を制作できるため、様々な方のニーズをコストをおさえながら満たすことができます。

この特徴を生かして、多くの出版社や書店でオンデマンド出版による復刻本の販売や自費出版の支援サービスなどを行っています。

商業印刷だけでは満たすことのできないニーズに応える手段として、今後もオンデマンド出版のサービスが増えていけばいいですね。

  

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