電子書籍と紙の書籍はどう使い分ける?

電子書籍と紙の書籍はどう使い分ける?プロモーション

従来、出版物と言えば紙で作られているのが一般的でした。

しかし、近年ではスマートフォンやタブレットで読む電子書籍も広く知られています。

出版をする場合には、それぞれのメリット、デメリットを把握して刊行することが大切です。

この記事では、出版業界が抱えている課題について触れた上で、電子書籍と紙の書籍のメリット、デメリットについて解説します。

 

出版業界が抱える課題

公益社団法人 全国出版協会によれば、出版業界の売り上げは1996年の26,564億円をピークに下降しています。[注1]

このように売り上げが低下してしまったことには、次のような出版業界が抱える課題が関係しています。

  • 趣味の多様化による本離れ
  • 電子書籍化への対応遅れ

 

趣味の多様化による本離れ

出版業界が抱える課題の一つが趣味の多様化による本離れです。

スマートフォンの普及によって、動画共有サイトやゲームなど、ユーザーがそれぞれの好みに応じた趣味を楽しめるようになりました。

総務省の発表によれば、13歳から69歳の男女全年代におけるスマートフォンを使ったインターネット利用時間は、平日で113.3分、休日は139.7分にも上っています。[注2]

このように読書以外にも余暇の過ごし方が増えたことが、書籍や雑誌の販売数低下につながっていると考えられます。

 

電子書籍化への対応遅れ

公益社団法人 全国出版協会の発表では、電子出版は2014年に1,144億円の売り上げを記録しました。

その後、年々売り上げは増加し、2022年には5,013億円にまで達しています。

2022年の出版業界の売り上げが16,305億円だったことを踏まえると、約3分の1を電子出版が占めていることが分かります。[注1]

しかし、電子書籍は全ての出版社が対応できるわけではありません。

電子書籍化への対応が遅れた場合、売り上げ低下の原因となることがあります。

 

電子書籍化が進まない理由

電子書籍化が進まない主な理由として、以下が挙げられます。

  • 電子書籍制作の知識を持つ従業員がいない
  • 電子化が進んでいないジャンルを刊行している

 

電子書籍制作の知識を持つ従業員がいない

電子書籍化には専門的な知識が必要であるため、電子書籍制作に関する知識を持つ従業員がいないと、電子書籍化が進まない可能性があります。

特に従業員数が少ない出版社の場合、専門的な知識を持つ従業員がいないことが電子書籍化の遅れにつながっています。

なお、経済産業省の調査報告書によると、小規模出版社(従業員1~9人)が電子書籍を増やす際の課題として、「採算が望めない(40.9%)」との回答が最も多く、次いで「電子書籍の購入者が少ない(39.4%)」という結果が出ています。[注3]

 

電子化が進んでいないジャンルを刊行している

刊行しているジャンルによっても、電子化の進捗は異なります。

経済産業省の調査報告書によれば、電子化で刊行されている傾向にあるジャンルは次の通りです。

  • 自然科学
  • コミック
  • 文庫・新書

一方、次のようなジャンルは電子化が進んでいない傾向にあります。

  • 芸術・音楽
  • 児童
  • 語学・学参

このようなジャンルで電子化が進んでいない背景には、採算が望めない、著作権者から許諾を得る負担が大きいなどの理由があるようです。[注3]

 

電子書籍と紙の書籍のメリット・デメリット

電子書籍と紙の書籍ではそれぞれメリット、デメリットがあります。

しっかりと把握した上で、両者を使い分けて刊行しましょう。

以下で、出版社にとっての電子書籍と紙の書籍のメリット・デメリットを解説します。

 

電子書籍のメリット

出版社から見た電子書籍のメリットとして、在庫を抱えなくて済むという点が挙げられます。

紙の書籍の場合、在庫を管理するスペースが必要となる上、在庫切れや絶版による販売機会損失の可能性も考えられます。

一方、電子書籍であれば在庫を抱える必要がなく、在庫管理に必要なコストを削減可能です。

また、電子書籍であれば国内だけでなく、海外の読者へも発信しやすいでしょう。

紙の書籍の場合、海外の読者へ発信しづらい上に、刊行するまでにタイムラグがありますが、電子書籍ならタイムラグを抑えて海外の読者にも届けることが可能です。

 

電子書籍のデメリット

電子書籍は紙の書籍よりも定価が安いケースが多いため、その分売り上げも少なくなる傾向にあります。

また、電子書籍は紙の書籍よりも読者にストレスを与えやすいという点もデメリットです。

データの重さや端末の状態、電波状況によって、電子書籍が読めなくなったり表示が遅れてしまったりする恐れがあるでしょう。

 

紙の書籍のメリット

紙の書籍のメリットとして、ブランディングをしやすいという点が挙げられます。

例えば装丁や紙の種類にこだわることで、高級感を演出し、よりターゲットにアピールすることが可能です。

知的財産権を守りやすいというのも紙の書籍のメリットです。

電子書籍と比べて紙の書籍はコピーされるリスクが少ないため、著作権侵害や盗用を防止しやすいでしょう。

 

紙の書籍のデメリット

紙の書籍のデメリットは、在庫を保管するスペースの確保や在庫管理が必要となる点です。

出版に伴うコストを抑えるために大量発行した結果、逆に大量の在庫を抱えてしまう恐れもあるでしょう。

 

悩んだ場合には小ロットでの印刷もおすすめ

電子書籍、紙の書籍それぞれにメリット、デメリットがあります。

両者のメリット、デメリットを把握した上で使い分けましょう。

もし、どちらを発行すべきか悩んだら、小ロットでの印刷もおすすめです。

印刷の単価を抑えるために大量印刷して大量の在庫を抱えている場合、小ロットに対応している印刷を採用することでコスト削減につなげられるでしょう。

また、必要な部数だけ印刷できるため、重版が必要な刊行物であってもニーズに応じた数量だけ作成可能です。

 

カラーの印刷も可能

小ロットに対応している印刷の中には、カラーにも対応しているケースがあります。

コストの都合で図版や写真などをモノクロで印刷していた場合であっても、小ロットかつカラーに対応している印刷であれば、コストを抑えて読者に伝わりやすい図版や写真を再現できるでしょう。

 

電子書籍と紙の書籍のメリット・デメリットを把握して効率的な出版につなげよう

出版社が抱える課題として、趣味の多様化による本離れや電子書籍化の対応遅れが挙げられます。

電子書籍は年々売り上げが増加している一方で、刊行物のジャンルによっては適していない可能性があります。

電子書籍と紙の書籍にはそれぞれメリット、デメリットがあるため、刊行物や自社の状況に応じた方法で作成しましょう。

 

紙の書籍にかかるコストで悩んでいるのであれば、電子化だけでなく、小ロットでの印刷もおすすめです。

東洋美術印刷では、高速輪転インクジェット印刷機と自動製本システムを合わせたジタルブックオンデマンドシステム、CSI(Color Solution Integrated)を導入しています。

小・中ロットでのカラー冊子印刷を得意としているため、従来は難しかった少ない部数でのカラー冊子印刷も実現可能です。

   

・関連資料のリンク

[注1] 公益社団法人 全国出版協会「日本の出版販売額」
[注2] 総務省「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要>」P10
[注3] 経済産業省「読書バリアフリー環境に向けた電子書籍市場の拡大等に関する調査報告書」P36

 

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