過去データの改版やデザイン見本からフォーマットを作成していると「なんでこの書体を使っているんだろう」ということがよくあります。
普段何気なくフォントを選ぶ際、何を基準に選んでいますか?
ゴシックか、明朝か、書体の持つ雰囲気か、ウェイトがたくさんあるかどうか…
本記事をフォント選びの参考にしていただければ幸いです。
ビットマップフォントとアウトラインフォント
ビットマップフォント
フォントは大きく分けて「ビットマップフォント」と「アウトラインフォント」の2種類に分けることができます。
ビットマップフォントは駅の電光掲示やお店の看板などのLED表示器、コピー機や電話の画面に使われています。
昔はパソコン画面にも使われていましたが、紙面やWEB上で使うことは滅多になくなりました。
アウトラインフォント
一般的にフォントといえばこちらが圧倒的に種類豊富です。
アウトラインフォントのなかでも様々な種類があります。
アウトラインフォントの種類と形式
Type1フォント(Winのみ.PFB)
本記事を書くまでWindowsでもType1フォントが使われていたことを知らなかったのですが、Windowsでは2013年にとっくにサポートが切れています。
Macでも2023年1月にサポートが切れました。
OSによってはまだ使えると思いますが、Type1フォントは基本的に使わないようにしていかなければなりません。
TrueTypeフォント(.ttf)
初心者~上級者の方までお使いいただける最も一般的なフォントです。
フォント名が同じであっても、Win-Mac間の互換性はありません。
OpenTypeフォント(.otf)
MacとWindows 間のクロスプラットフォームの実現、文字種の拡大のニーズに応えるため、Microsoft社とAdobe社により開発されました。
Win-Mac間の互換性があるため、後々のことを考えるとこの形式のフォントを使っていると安心です。
OpenTypeの日本語フォントについて
フォント名の最初にアルファベットがついているものがあります。
FOTはフォントワークス、A-OTF・G-OTF・U-OTFはモリサワ、I-OTFはイワタのオープンタイプフォントです。
Ro書体はモリサワのフォントですが、旧リョービ書体のオープンタイプを表しています。
もちろん他にも「小塚」や「ヒラギノ」「游書体」など、「OTF」とついていなくてもオープンタイプのものもあります。
Std・Pro・Pr6の違い
1992年にAdobe社が日本語フォント用にAdobe-Japan1という文字セットを制定しました。
Std・Pro・Pr6はAdobe-Japan1のどれに対応しているかを表しています。
末尾の番号が多いほど含まれる文字の種類が多いです。
Nあり書体、Nなし書体の違い
このNは「漢字の字形が2004年に改定されたJIS規格に対応している」ことを表しています。
具体的にはNありとNなしのフォントでは、168文字の漢字の字形に違いがあり、Nなし書体では異体字として個別に変更が必要だった文字が、Nあり書体では正字がデフォルトの設定になっています。
例えば、「辻」「葛」「祇」「捗」の文字。
Nありだと「辻」は二点しんにょう、「葛」は下の中の文字が「L+メ」、「祇」のしめす偏が「ネ」でなく「示」、「捗」は「歩」の点が1点少ない。
もちろん文字としてはNあり書体もNなし書体もどちらもフォント内に存在しているので、異体字として選択して使用できます。
A-OTF、G-OTF、U-OTFの違い
モリサワのフォントには同じようなフォント名でも最初のアルファベットが違うものがあります。
「A-OTF」=Adobe規格の文字セットのフォントです。
大抵はこれを使っていれば問題ありません。
「G-OTF」=学参用のフォントです。
教科書参考書など、普段書く文字とできるだけ同じ形になるように設計されているフォントです。
視覚的に筆画がわかりやすいデザインにすることで、教育の現場に適した書体設計になっています。
「U-OTF」=U-PRESS(社団法人共同通信社が全国の新聞社などに国内外の記事を配信するために定めた文字コード)の文字セットのフォント。
新聞社向けにA-OTFでは異なる字体(主に人名・地名漢字)を補完するフォントです。
Pあり書体、Pなし書体の違い
MSゴシックとMS Pゴシック、A-OTFとAP-OTFなど、Pが付いているフォント・付いていないフォントがあります。
P=Proportional(プロポーショナル)のPで、文字幅や字詰めが異なっています。
Pありの書体をPなしに置き換えると、文字組の体裁が崩れたり一部グリフのデザインの変化が発生するため、置き換えは推奨できません。
使うならオープンタイプフォントが◎
基本はオープンタイプフォントを使いましょう。
日本語フォントを使う際は、N ありか無しか選べるならばNありのものを、Std・Pro・Pr6に関しては数字の大きい物を、Pあり・無しに関しては使用スペースを見極めてどちらか沿う物を選べば良いでしょう。
「ゴシックから明朝へ」など、フォントを変更する場合は、N・Pありものはありのものの中から、無しのものは無しのものの中から選べば良いでしょう。