今、国内外の企業で注目を集めているのが、脱炭素社会の実現に向けて取り組む「グリーントランスフォーメーション(GX)」です。
2021年2月22日には、欧州連合理事会がグリーン化やデジタル化(DX)のための研究開発費として、100億ユーロを拠出すると発表しました。[注1]
なぜ、グリーントランスフォーメーションへの関心が高まっているのでしょうか。
グリーントランスフォーメーションの意味や、国内外の取り組み事例を紹介します。
グリーントランスフォーメーション(GX)とは?脱炭素社会の実現に向けた変革
今、再生可能エネルギーへの移行や、脱炭素化社会の実現など、環境問題への国際的な関心が高まっています。
グリーントランスフォーメーションとは、環境に配慮した先端技術を使い、産業構造を変革(トランスフォーメーション)する取り組みです。
経済成長をつづけながら、環境保護を推進していくのがポイントで、EUのほかにも日本やカナダ、オーストラリアなど、多くの国々が産業政策に取り入れています。
たとえば、EUはプラスチックなどのバイオベース製品への転換や、クリーンな水素エネルギーの導入などに精力的に取り組んでいます。
グリーントランスフォーメーション(GX)への関心が高まる理由
グリーントランスフォーメーションの代表的な取り組みが、温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル(カーボンオフセット)」です。
カーボンニュートラルの実現に向けた「カーボンニュートラル連合(CNC)」には、日本やドイツ、フランスをはじめ、29カ国が加盟しています。
なぜ、世界各国でグリーントランスフォーメーションへの関心が高まっているのでしょうか。
その背景には、地球温暖化をはじめとした世界的な気候変動への強い危機感があります。
大規模な森林火災や干ばつの発生など、気候変動に起因する経済損失が大きく、いかに経済成長をつづけつつ、環境保護に向けて舵を取るかが課題となりました。
グリーントランスフォーメーションは、経済成長と環境保護を両立する成長戦略として、多くの国や企業に取り入れられています。
企業がグリーントランスフォーメーション(GX)を行うメリット
企業のブランドイメージ向上につながる
エシカル消費やESG投資といった言葉があるように、消費者や投資家の中には社会的なイメージで企業を選ぶ方も多いです。
GXへの取り組みでサステナビリティを意識した会社という認識が広まれば、企業のブランド力も自ずと良くなります。
補助金などの支援を受けられることがある
市区町村によっては、GXに積極的に取り組む企業に向けて補助金や助成金を設けているところがあります。
日本全国の多くの自治体で実施されており、自分が勤務先の町でも受けられるという方も少なくないでしょう。
グリーントランスフォーメーション(GX)に向けた取り組み事例
グリーントランスフォーメーションに向けた、国内外の取り組み事例を3つ紹介します。
事例1:経済産業省「GXリーグ」
2023年4月、経済産業省によりGXに取り組む企業が政府機関や研究機関と協働できる場としてGXリーグが始動しました。
GXリーグの発足には企業が積極的にGXを主導できるようにすることで、企業努力が国内外で正しく評価される構造を作る目的があります。
同年6月の時点では様々な業種から百社以上の企業がGXリーグに参加しており、GXの取り組みをリーグ全体で技術面や財政面でサポートできる仕組みが作られています。[注2]
事例2:ENEOS「ENEOS GXシリーズ」
ENEOSではGXの一環として植物由来の原料を使用した商品「ENEOS GXシリーズ」の販売を2023年に開始しました。
同社ではサトウキビや大豆など植物油をもとにした潤滑油やグリースの開発に成功しており、一般的な化石燃料の商品に比べてCO2を大幅に削減できるのが特徴です。
今後はENEOS GXシリーズの商品のジャンルを工業用のものなどへ広げていき、さらなる脱炭素化への貢献を目指しています。[注3]
事例3:日本製鉄「クリーン鋼材の供給」
日本製鉄では2023年9月から、製造工程で排出されるCO2を削減したグリーン鋼材の本格的な供給をはじめています。
また同社では現在、水素還元を用いた製造技術の導入を目指しており、実用化すればCO2排出量の大幅な削減も期待できます。
現在では海外でこの技術を導入するプロジェクトが組まれており、日本の大手製鉄会社も数多く参画しています。[注4]
グリーントランスフォーメーションに向けた動きが世界各国で広がる
グリーントランスフォーメーションは、環境保護と経済成長を両立する新たな成長戦略です。
EU諸国をはじめとして、日本やカナダ、オーストラリアでもグリーントランスフォーメーションの実現を目指す動きが広がっています。
グリーントランスフォーメーションの柱となるのが、CO2の排出量を実質的にゼロにする「カーボンオフセット」です。
日本政府が「2050年カーボンニュートラル」も発表するなど、国内企業でもカーボンオフセットやカーボンニュートラルに向けた機運が高まっています。
・関連資料のリンク
[注1] 一般財団法人環境イノベーション情報機構:欧州委員会、グリーン化・デジタル化促進のための研究開発に100億ユーロを出資すると発表
[注2] GXリーグ公式WEBサイト
[注3] 省エネルギー型バイオマス潤滑油・グリースの販売開始について ~カーボンニュートラル社会の実現に貢献する新商品群「ENEOS GXシリーズ」~
[注4] 日本製鉄:大型高炉実機を用いた高炉水素還元の実証試験の開始決定
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