商品やサービスの概要が書かれてある印刷物を指すのに使われる「カタログ」「パンフレット」「リーフレット」という3つの言葉。
しかし、それぞれの言葉の違いって明確に分かっていますか。
何となく分かっているつもりでも間違って認識してしまえば、印刷を発注したときに誤って情報を伝えてしまうことも…。
一度間違って印刷してしまうと、時間もコストも余計にかかってしまいます。
そこで今回は3つの言葉の意味をそれぞれ説明していきます。
カタログは「品物を比較しながら選んでもらうためのもの」
カタログは販売商品や展示作品などを一覧形式で読者に紹介するための印刷物です。
世界で最初のカタログは、1498年にイタリア・ベネチアのアルドゥス・マヌティウスが製作した自身の印刷物のリストです。
1744年には米国のベンジャミン・フランクリンが世界初となる通信販売事業を立ち上げると、現在のものの原型となる通販カタログを出版しています。[注1]
その後も通信手段などの進化とともに米国を中心にありとあらゆる商業的なカタログが生まれていきました。
カタログは商品を見せるためのレイアウトが基本
カタログは実物を見ずとも鮮やかな商品写真で読者にそのもののイメージを連想できるよう、パンフレットやリーフレットに比べてレイアウトが写真中心になりやすいのも特徴です。
そのため1つのページのほとんどを商品画像が占めることも珍しくありません。
またカタログは一度に複数の品物を比較するものなので、パッと見て比較しやすいようページのレイアウトをある程度統一させる必要があります。
このような同じデザインの繰り返しは「反復」と呼ばれています。
専門的な内容も掲載できるため、カタログは見本市や説明会など商品への関心度を高められやすい場で配布する、もしくは申し込みがあった方に郵送するのがベストです。
パンフレットは「あらゆる情報をまとめて伝えるためのもの」
パンフレットは色々な情報をコンパクトに読者へ伝えるための印刷物です。
手軽に詳細な情報を取得できるツールとして、会社概要や施設案内、ゲームの説明書などあらゆるジャンルで活用されています。
またUNESCOによる定義では、パンフレットは表紙をのぞいたページ数が5〜48ページの印刷物とされています。[注2]
映像ソフトやコミック本などの限定盤に特典として付くものは、ブックレットという名前で区別されています。
19世紀半ばに雑誌が誕生するまでの間、パンフレットは欧米で重要なコミュニケーション手段として活用されてきた歴史があり、特にドイツの宗教改革やアメリカ独立運動ではパンフレットが人々を啓蒙する重要なツールとして使われました。
パンフレットは次々と配れるようすぐ作れるレイアウトに
パンフレットは表紙の装丁がなく、平綴じや中綴じなどホチキスによる仮綴じで作られることが多いです。
作りが簡素な分、大量に用意して配布しても費用をおさえやすい点も特徴です。
リーフレットより紙面が大きいため、価格表や施設の全体地図などどうしても大きくなりやすい図表を入れるのにも適しています。
パンフレットはカタログよりも手軽に多くの人に情報を伝えられます。
読者にとっても無線綴じのカタログよりも手に取りやすいため、多くの人に会社の名前やブランドイメージを伝えるツールとして力を発揮しやすいです。
リーフレットは「ピンポイントで何かを知らせるためのもの」
リーフレットは商品の特徴やイベントの告知など、ある情報をピンポイントで通知するための印刷物です。
グーテンベルクによる活版印刷の発明以降、パンフレットと同じくリーフレットも広く情報を宣伝するためのツールとして活用されてきました。
リーフレットとパンフレットの主な違いは、使う用紙の数とその作り方です。
複数枚の用紙を束ねてつくられるパンフレットと違い、リーフレットは一枚の紙を折りたたむことで作られていて、その折り方には2つ折り、3つ折り、4つ折り、Z折りなどの種類があります。
リーフレットは広げれば一枚の大きな紙面になるため、観光案内のリーフレットはよく裏面が広げて使える地図になっています。
こうした特徴もあり、リーフレットは持ち歩きでの利用を前提にレイアウトを決めることが多いです。
サイズが小さい分、不特定多数の人に取ってもらいやすいのがリーフレットの特徴です。
レジ横や出入口付近など通行人の目に止まりやすいところに設置すれば、広告ツールとしてのリーフレットの強みが活かせますよ。
3つの印刷物は配布する用途や相手も違ってくる
改めて3つの言葉の意味を振り返ってみましょう。
印刷物 | 特徴 |
カタログ | 商品などを比較して選んでもらうための本 |
パンフレット | コンパクトに商品の概要を伝えるための冊子 |
リーフレット | 一つの情報をピンポイントで知らせるための冊子 |
似ているようで異なる3つの印刷物、掲載できる情報量やサイズが異なるため、リード客にどう配布するかそれぞれ違ってきます。
情報量を多く掲載できるカタログは商品購入やサービス利用を検討しているリード、ある程度の情報を広く伝えられるパンフレットは新規リード、ピンポイントで情報を伝えられるリーフレットは地域や年齢層など特定の条件にあったリードに向けて配布するのが好ましいでしょう。
最後にカタログやパンフレットなどのレイアウトは、経験がなければ思うようにいかないことも多いです。
もし会社やお店のものを作って配布したいと考えているならば、一度弊社に相談してみてくださいね。
・関連資料のリンク
[注1] The British Museum: Aldus Pius Manutius
[注2] Britannica.com : pamphlet | literature