企業のサイトにアクセスしたとき、「クッキーの設定を許可しますか?」という表示がひょこっと現れることありますよね。
皆さん、あれって毎回どうしていますか?私はよほどのことがない限り許可するようにしています。
ところでこのクッキー(Cookie)ってどんなものでどんな目的があるのか、分からないという人もいるかと思います。
実は現在、ユーザーのクッキー情報を利用しないクッキーレスが主流になるといわれています。
…と急に言われても、クッキーの正体が分からないと何を言ってるのか分からないですよね。
そこで今回はクッキーやクッキーレスが何なのか、WEBマーケティングにどう影響していくか詳しく見ていきます。
クッキーの基礎知識についてまずはおさらい
クッキーは簡単に言うとインターネットを接続する時にWEBブラウザとWEBサーバーとの間でやり取りされているデータのまとまりです。
ホームページには元来、誰が現在見ているといったセッションと呼ばれる概念がありません。
クッキーを使って「誰がログインしようとしている」「前見に行ったときはこのページを見た」といった情報をWEBサーバーに送信することで、WEBサイトにユーザー情報が反映されてスムーズに利用できるようにしています。
例えば通販サイトや予約サイトで手続きをしていて、うっかりWEBブラウザを消してしまっても、再度開いたブラウザ上に申し込み途中のデータが残っていたという経験、ありますよね。
あれはWEBブラウザから入力した申込内容をクッキーが保管していて、再度ブラウザを立ち上げるときにクッキーを読み込むことで内容が再度表示されるようにしています。
クッキーはWEBマーケティングになくてはならない存在だった
クッキーには「ファーストパーティクッキー」と「サードパーティクッキー」の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
ファーストパーティクッキーはWEBブラウザと実際に訪れているWEBサイトとの間で送受信されるクッキーで、サードパーティクッキーはWEBブラウザとネット広告の画像などWEBサイトに埋め込まれているコンテンツとの間で送受信されるクッキーです。
サードパーティクッキーは最近までWEBマーケティングにとって非常に大きな役割をはたしていました。
サードパーティクッキーはユーザーの行動履歴などを分析して、その人が普段見ている内容を反映させることができます。
こうしたクッキー情報を反映させた広告は「リターゲティング広告」と呼ばれており、個人ごとに興味を示しやすい内容でアプローチできるため、2008年ごろより多くのWEB運用会社が活用してきました。
同じサイトを見てもタイミングによって表示される広告がまったく違っていたという経験も誰しもがあるかと思いますが、これがまさにリターゲティング広告なのです。
WEBサイトのみならず、日本ではLINEやTwitterなどのSNSへのリターゲティング広告も広く活用されてきました。
クッキーは「プライバシーの敵」と呼ばれるワケ
クッキーを活用したリターゲティング広告は労力のわりに効果を発揮しやすい上にユーザーにとっても興味のある分野の情報が入りやすい一方、第三者にユーザーの個人情報が漏れてしまうためにプライバシーが守られていないと感じる人も少なくありません。
またクラッキングなどのサイバー攻撃により入手したクッキー情報をもとに口座預金の流出やクレジットカードの不正利用をおこなう手口の犯罪も増加しています。
実際に2013年には大手検索ポータルへのサイバー攻撃により3200万アカウントのクッキー情報が流出して偽造されるという凶悪事件が発生しています。
こうした安全上の理由から、EUのGDPRや米国・カリフォルニア州のCCPAを筆頭に欧米各国で2010年代後半からクッキーの規制が行われ始めました。
近年、多くの企業のWEBサイトで「クッキーの使用を許可しますか?」といった表示が出るようになったのも、本人に無許可でクッキー情報を収集できなくなったためです。
クッキーを用いたマーケティングは難しくなった
GoogleやAppleも自社のWEBブラウザでサードパーティクッキーを無効化する動きが進められています。
日本でも2022年4月に個人情報保護法が改正されて、クッキーは「個人特定につながる重要な情報」として認識されるようになりました。
その結果、3年ほど前からリターゲティング広告への制限が厳しくなり、効率的なWEB広告を展開するのがかなり難しくなりました。
WEBマーケティングはリターゲティング広告に代わる新たな顧客へのアプローチ方法を見つけないといけなくなったのです。
クッキーレスでもWEBマーケティングはできる
世界的なクッキーレスの動きにより、クッキーを使わないWEBマーケティングツールが世界的に利用されはじめています。
例えばリターゲティング広告の代替品として数年前から注目を集めているのが「コンテキストターゲティング広告」です。
これはAIがWEBページの文章を分析して関連性のある内容の広告を自動で表示させるもので、よりユーザーが興味が出やすい広告を展開できるようになります。
また検索ポータルやSaaS企業が提供するマーケティングツールを活用すれば、プライバシーに極力配慮しながらWEBマーケティングできるためクッキー規制で落ちたマーケティング効果も取り戻しやすいです。
検索ポータルではGoogleやYahoo!がそれぞれ独自でマーケティングツールを提供しています。
特にGoogleによる「Google Analytics」は国内の上場企業の8割が導入しているといわれており、WEBマーケティングにおいてなくてはならない存在の1つといえるでしょう。
検索ポータル | 提供している主なマーケティングツール |
・Google Analytics ・Google 広告 ・Google AdSense など | |
Yahoo! | ・Yahoo! Japan ディスプレイ広告 ・Yahoo! Japan 予想ファネル ・Yahoo! Japan コンバージョンリフト調査 など |
他にもAmazon.comや楽天市場などの大手通販サイトでも、ネット店舗の売上向上につなぐためのWEBマーケティングツールを提供しています。
また国内外のSaaS企業が運用しているアクセス分析ツールなどのマーケティングツールも数多く存在し、代表的なものであるJuicerやサイテストなどは多くの有名企業が導入しています。
このようなマーケティングツールをうまく使いこなすことが、クッキーレスの時代のWEBマーケティングにおいて重要だといえます。
クッキーレスでもWEBマーケティングは問題なく続けられる!
WEBサイトとWEBブラウザの間でやり取りされるデータのまとまりであるクッキーは、長い間ユーザー個人の行動を把握して適切なリターゲティング広告を表示させるためのツールとして活用されてきました。
しかしプライバシーを阻害しているという意見が強まる中でクッキーの活用やリターゲティング広告は徐々に無くなっていき、かわりにクッキーレスに対応したWEBマーケティングの方法が普及してきました。
日本でもこれからクッキーへの規制が厳しくなる確率は高いため、WEB上での販売戦略を重視している方は新たなマーケティング方法を導入する必要があるでしょう。
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