マーケティングに携わる方なら耳にすることも多い「ポジショニング」という言葉。
このポジショニングを成功させるために役に立つのが今回解説するポジショニングメディアです。
ポジショニングメディアを通して自社や製品をアピールできれば、確立したブランドイメージをつくることができて、業界での存在感を揺るぎないものにできます。
今回はポジショニングメディアをつくるメリットや注意点などを中心にお伝えします。
ポジショニングメディアってどんなもの?
ポジショニングメディアとは、自社や製品のブランドが他のブランドとどのような点で差別化されているのか、比較する形式で構成された広告やオウンドメディアを指しています。
ポジショニングについては、次のSTP分析の説明で詳しく書かれているのでそちらをご覧ください。
ポジショニングメディアを通して業界内での自社や製品の特徴をダイレクトに訴えかけることで、他社製品にはない唯一無二の特徴があるとユーザーに認識してもらえます。
従来のオウンドメディアよりもアピールポイントを絞ってコンテンツをつくるため、ポジショニングメディアはターゲット像が明確になり、狭く深いアプローチをかけるにはぴったりといえます。
ポジショニングメディアにかかせない「STP分析」
ポジショニングメディアをつくる上でかかせないのが「STP分析」です。
このSTPはセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの3つの言葉の頭文字です。
STPの「S」:セグメンテーション
セグメンテーションは、ターゲットとなる市場を共通のニーズや悩みで分類化していくことで「市場の細分化」とも呼ばれています。
ユーザーによってニーズの中身は多少違ってくるため、それぞれのニーズにすべて完璧な形で対応するのはまず不可能です。
そこである程度似ているニーズを持つユーザーを一つのまとまりにすることで、ペルソナの設定やマーケティング戦略の立案を立てやすくします。
セグメンテーションを行うには、以下の4つの切り口が重要です。
- デモグラフィック(人口統計的特徴)…年齢・性別・家族構成・所得・職業など
- ジオグラフィック(地理的特徴)…出身地・生活環境など
- サイコグラフィック(心理的特徴)…性格・趣味・価値観・生活スタイルなど
- ビヘイビアル(行動的特徴)…購入状況・製品に対する理解度・利用時間など
こうしたユーザーに関する情報は、GA4などの分析ツールを駆使することで初心者でも簡単に調べられます。
STPの「T」:ターゲティング
ターゲティングは、セグメンテーションで細分化されたグループから自社のターゲットとしてふさわしいものを選ぶことです。
それぞれのグループの規模や成長性などを比較して、マーケティングに合った成果が十分見込めるターゲットはないか見極めていきます。
ターゲティングには、その対象範囲によって以下の3つのタイプに分かれます。
1. 非差別化マーケティング
細分化する前の全てのユーザーを対象とする方法です。
かなりマクロな視点で分析するため、ターゲティングの手間はおさえられますが大まかなニーズにしか対応できないのが特徴です。
2.差別化マーケティング
細分化された複数のグループを対象とする方法です。
複数のグループにそれぞれ別のプロモーションをかけるため準備負担が増えるものの、その分様々なニーズに合った施策が行えます。
3.集中化マーケティング
細分化された特定のグループだけを対象とする方法です。
プロモーション施策などを限られたニーズに特化しておこなうため、細かなニーズに対応できてユーザーの満足度やリピート率につながりやすいです。
STPの「P」:ポジショニング
ポジショニングは、ターゲットにとって自社や製品がどのような存在であるべきか立ち位置を決めることです。
他社製品にはない良い特徴を認知することで、ターゲットがその品目を購入する際に自社のものを選ぶ確率も高くなります。
ポジショニングを考えるうえで重要になってくるのが、ベネフィットです。
ベネフィットとはユーザーの製品やサービスに対する満足感を指していて、主に以下のものがあります。
1.機能的ベネフィット
美味しい、使いやすい、便利など製品による良い効果。
2.情緒的ベネフィット
安心する、楽しい、癒されるなど製品で得られる良い感情。
3.自己実現的ベネフィット
恋人ができる、健康状態が良くなるなど製品で達成できる良い事象。
ユーザーのニーズや悩みを把握できてベネフィットとうまく関連付けられたら、自社や製品をどうアピールするかアイディアが思い浮かびやすくなるかと思います。
あとはユーザーが共感できる内容や役立つ情報を、ポジショニングメディアのコンテンツとしてコンスタントに作り上げていくだけです。
もちろんすぐに効果がでるものではないので、何ヶ月、何年と長く運用していくことがポジショニングメディアによるマーケティングの要といえます。
ポジショニングメディアで期待できる効果
インパクトのあるアピールができる
「業界で一番の~~」あるいは「業界で唯一~~」といった他社にはない強みをアピールできれば、自社のイメージを強く印象づけることができます。
特に顧客の数などはそれだけ多くのユーザーから信頼されている証拠となり、知名度だけでなくさらなる信頼度の向上にもつながります。
例えば旅行先で地元の名物料理を食べる際、「一番古い〇〇発祥の人気店」と紹介された店があれば行きたくなりますよね。
こうしたフレーズを効果的に使えば、自社ブランドに高級感や対応の手厚さなど様々な要素を合わせて印象付けられるようになります。
価格競争から抜け出し利益向上を狙える
見た目も使い勝手もあまり変わらないような商品が多数存在する場合、どうしても割引やポイントサービスなど価格面で顧客をひきつけなければなりません。
しかしポジショニングメディアにより、他社にはない強みをユーザーにアピールできれば、商品購入時に価格以外のメリットで自社製品を選んでくれる確率が上がります。
例えば家電製品を買うとき、その製品にしかない魅力的な機能が備わっていたら多少競合品より高くてもそっちを買いたくなりますよね。
他社に負けじと価格を下げすぎてしまって利益を大幅に減らしてしまうようなリスクを減らせるので、資金面でも余裕が生まれやすいでしょう。
リピート客を生み出し利益安定を狙える
ポジショニングメディアを通じて、自社や商品の最新ニュースを発信することで、ユーザーが何度もWEBサイトを見に来てくれる可能性があります。
ユーザーの自社や商品のブランドイメージが長い間保たれるため、繰り返し商品を使ってくれるリピート客となる確率も上がります。
楽器のメンテナンス方法や練習のコツを紹介してくれるブログを楽器店が運用していれば、そのブログのユーザーで何か用ができたらまずその店に聞きにいこうという楽器好きの人も出てきますよね。
こうしたリピート客が一人でも生まれたら、毎月の利益がより安定したものになるでしょう。
ポジショニングメディアの運用の注意点
不当表示にならない書き方を心がける
ポジショニングメディアは景品表示法上では、自社製品と競合製品を比べたうえで優位性をアピールする「比較広告」としてみなされます。
比較広告は見ている人が誤認してしまわないよう、以下の3点をすべて満たしていることが必須となります。
- 主張する内容が客観的に実証されていること
- 数値や事実は正確かつ適正に引用されていること
- 比較方法が公正であること
もし満たしていなければ、自身に有利な内容だとみなされてしまい、消費者庁から改善を求められる事態につながります。
また他社やその製品を貶めずに特徴や強みも客観的にきちんと明記してあげることで、コンテンツ自体の信頼性が高まり、ユーザーにとって利用価値の高いポジショニングメディアを提供できます。
ステマと思われないようにする
ステマ、つまりステルスマーケティングは会社が無関係な一般人を装って自社や製品を宣伝することです。
一方でポジショニングメディアには、一目で企業が公式で出している広告・コンテンツだと分かるよう表記する必要があります。
URLに企業名を入れた程度では不十分だとして行政の指導を受ける可能性があるため、必ず本文などへ明記しておきましょう。
ステマのようにユーザーを欺いて誘導させるようなコンテンツと思われないためにも、表記のしかたはしっかり注意しないといけないのです。
ポジショニングメディアがもたらす効果は大きい!
自社の製品が業界内で誇れる強みを前面に打ち出して、ユーザーに強く印象づけるためのオウンドメディアをポジショニングメディアといいます。
成功するポジショニングメディアを作るには、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングからなるSTP分析をしっかり行って、どのようにアピールすれば自社製品がユーザーのニーズや悩みに対応できるか考えることが完結です。
ポジショニングメディアがうまく軌道に乗れば、自社や製品の認知度も広がり利益の向上や安定化につながりやすいですよ。
本格的にポジショニングメディアに着手したい方は、まずどんな客層に製品やサービスを展開したいのか考えるところから始めてみましょう。
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