紙媒体はFinTechの登場にどう対処したらいい?

紙媒体はFinTechの登場にどう対処したらいい?プロモーション

DXの推進が業界の存続に大きく関わるといわれているほど、企業にとってDXは重要な課題となっています。

それは銀行や保険会社などの金融業界でも同じです。

金融機関でもDXが進むと業務内容や情報共有の効率が大幅に上がると言われています。

銀行や保険の窓口からパンフレットや記入用紙など紙媒体のツールは消えてしまうのでしょうか。

金融業界における紙媒体の現状や実際に紙とデジタルコンテンツの両立を実現させている事例とともに解説します

FinTechとは何か基礎知識をおさらい

FinTechとはFinancial(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた言葉で、AIによる査定やネットバンキングなど最先端のデジタル技術を活用した金融サービスを指しています。

我々の身近な所ではスマートフォンを使ったキャッシュレス決済や交通系ICカードを搭載したアプリなどもFinTechの例に挙げられます。

FinTechという概念は2009年ごろのリーマンショック後に登場した仮想通貨の盛り上がりとともに世界的に広まりました。

その後、世界中のベンチャーIT企業などによりFinTechの様々なサービスが開発されてきました。

 

金融業界からすぐに紙媒体が消えるわけではない

では銀行や生命保険の販促ツールとしての紙媒体が消えていくかと言われると、その可能性は今のところかなり低いといえます。

理由としてまず電子資料に関する法整備が追いついていないことが挙げられます。

2023年2月現在、金融商品の主要資料(目論見書や運用報告書など)は原則紙での交付が義務付けられ、電子上で交付するには顧客の同意が必要です。

政府が産業全体でのDX推進を目指す一方で、長年培われてきた慣習が多い金融機関が急速なDXを進めてしまうと、企業側も顧客側も対応できずにかえって問題が発生する可能性も指摘されています。

その次にネット上でのコミュニケーションが普及しきったからこそ、かえって紙媒体などアナログなツールが顧客の目に止まりやすいことが挙げられます。

スマホが普及しだしたころには紙媒体が前時代的なツールと認識されることも多かったですが、実際には紙媒体の販促物の価値はなくなっておらず、米国では雑誌で「今さら紙媒体のカタログが必要なのはなぜか」という特集が組まれたこともあるほどです。

金融業界にとっては紙媒体は今でも主要な販促ツールの手段であり、2018年にイギリスの調査機関「Data & Marketing Association」が行ったDMに関する調査では、金融機関の3分の2が今もなお紙媒体のDMをマーケティングに活用しているという結果が出ています。[注1] [注2]

 

またパンフレットやポストカードといった紙媒体の販促物はデジタルコンテンツに比べて、自由にデザインを取り入れてマーケティングに活用しやすい点も挙げられます。

年齢層や性別などターゲットの属性に沿ったコンテンツを用意すれば、極めてパーソナライズされた販促ツールとしてマーケティング効果を発揮しやすくなります。

特定の地域に絞ってマーケティングする場合にも、デジタルなものよりもアナログなものをコンテンツとして展開したほうが手っ取り早く行えるのは言うまでもありません。

ローカルチェーンの新店舗ができる時、検索エンジンや動画サイトにWEB広告を出すより地元の新聞にチラシを出すほうが費用対効果が見込めそうですよね。

マーケティングを繰り広げたい対象が決まっていれば、紙媒体の販促物は費用以上の効果を出してくれるでしょう。

 

紙媒体で巧みにマーケティング戦略を行う金融機関の事例

「紙 × FinTech」の事例:アンプカ銀行

アンプカ銀行は、オレゴン州を中心にアメリカ国内に260以上の店舗を持っている地方銀行です。

アンプカ銀行では新店舗のオープンや移転などのお知らせを紙媒体のダイレクトメールを使うマーケティング戦略を行っています。

ダイレクトメールの内容はあえて伝えたいお知らせに絞って極力シンプルにまとめることで、銀行のユーザーに確実に情報を伝えられるようにしています。

他にもカラフルなデザインを取り入れるなどダイレクトメールを人々の目につきやすくするための工夫を入れることで、マーケティングツールとしての効果をさらに高めています。[注3]

 

「紙 × FinTech」の事例:ナラガンセットベイ保険

米国東海岸・ロードアイランド州にあるナラガンセットベイ保険は、1848年に設立された老舗の保険会社です。

2003年に投資家に買収されたことをきっかけに現在の会社名へと改名されたのですが、その4年後からマルチチャネルによる会社の本格的なリブランディングが始まりました。

まずはターゲットを同州沿岸部の住民に絞って企業のロゴイメージなどを一新して、現地の新聞メディアを中心に広告を打ち出しました。

そのほかにも自社のWEBサイトやSNSアカウントだけでなく、会社案内や製品パンフレットや印刷広告といった紙媒体の販促ツールも合わせた包括的なマーケティング戦略を行うことで、同社の新たな保険商品サービスを効率よく営業エリアに広告できるようになりました。

営業エリアに根付いたマーケティング戦略を長年行ったことで、米国東北部で同社の知名度を向上させることに成功しています。[注4]

 

紙媒体はデジタルコンテンツにはない強みがある!

数年前から世界中の企業がDXを進める中で、一見すると紙媒体が追いやられているように感じられます。

しかし実際はデジタルコンテンツへの法的な対応がまだ進んでいないだけでなく、顧客にとっても紙媒体の販促物は目を通しやすいという調査結果も出ています。

幅広くマーケティングを展開できるデジタルコンテンツに対して、狭い範囲へ確実にマーケティングをおこなえるのが紙媒体の特徴です。

単純にDXを進めるのではなく両者の特性を活かして自社や商品サービスの販促をおこなうことは紙媒体だけでなく金融業界にとっても良いといえるでしょう。

 

・関連資料のリンク

[注1] Harvard Business Review | Why the Print Catalog Is Back in Style
[注2] PostGrid | Direct Mail for Banks and Mailing Services – Statement Printing & Mailing
[注3] Bank Marketing Ideas: How 7 Regional Banks Use Direct Mail
[注4] Insurance Company Case Study – JH Communications

 

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