一般消費者に対してではなく、社員や株主といった自社のステークホルダーに対しておこなうブランディングを「インナーブランディング」といいます。
インナーブランディングのポイントとなるのが、自社の「パーパス(企業の存在意義)」の発信です。
企業の存在意義を社内に浸透させるパーパスブランディングは、従来のインナーブランディングと比べて、どのような違いがあるのでしょうか。
大手企業の取り組み事例を紐解きながら、わかりやすく解説します。
パーパスによるインナーブランディングとは?「企業の存在意義」を発信すること
さまざまな企業ブランドが市場にあふれるなかで、自社の競争優位性を確保するには、インナーブランディングをおこなうことが大切です。
中でもパーパスによるインナーブランディングは、自社の「パーパス(企業の存在意義)」を軸としたブランディング戦略です。
パーパスは「ビジョン」「ミッション」と違い、「自社はなぜ存在するのか」「社会のなかで、自社がどんな役割を果たすのか」を表す言葉です。
パーパス(Why) | 自社はなぜ存在するのか、何のために存在するのかを表す ビジョンやミッションの前提となる概念 |
ビジョン(Where) | 自社はどこを目指すのか、自社のあるべき立ち位置はどこかを表す |
ミッション(What) | 自社はなにを実現したいのか、どんな使命を持っているのかを表す |
パーパスによるインナーブランディングにより、価値観や社会的意義を社員と共有できれば、社員のモチベーションが高まり、連帯感を強化できます。
また、社員がSNSなどで情報発信をおこなう現代では、社員が発信するビジョンや価値観も、自社のブランド形成に大きな役割を果たします。
そのため、パーパスによるインナーブランディングは、社内向けの広報に限られません。
社外向けのメディアやコンテンツと組み合わせ、「企業の存在意義」を多角的に浸透させていくことが大切です。
パーパスによるインナーブランディングの企業事例3つ
それでは、具体的にどのようにパーパスブランディングを実施すればよいのでしょうか。
ここでは、パーパスによるインナーブランディングに取り組む大手企業の事例を3つ紹介します。
NTTコミュニケーションズ:「ストーリーブック」
NTTコミュニケーションズは、企業のパーパスを浸透させるため、自社の立ち位置や存在意義をまとめた「ストーリーブック」を作成しました。
社員がストーリーブックを読むことで、自社のパーパスに共感し「自分ごと」化して理解できるようになりました。
同時に体験型のワークショップを実施し、よりパーパスを内面化できるように工夫しました。
トヨタ自動車:「トヨタイムズ」
トヨタ自動車は、自社の製品やサービスの魅力や、企業としての取り組みを発信する「トヨタイムズ」に力を入れています。
トヨタ自動車では、自動車業界が「100年に1度の大変革」を迎えるなかで、自社のDNAをいかに社内で共有していくかが大きな課題でした。
トヨタイムズは社外向けのメディアですが、自社の存在意義を明確化し、社内で共有するインナーブランディングとしても役立っています。
協和キリン:多角的なコンテンツ展開
協和キリンは、動画・Webサイト・PR・マンガコンテンツ・ゲーミフィケーションなど、さまざまなコンテンツを活用し、社内外に企業姿勢を発信する取り組みをおこなっています。
「インナーブランディングだから、社内報や社内イベントに限定する」のではなく、社外広報を戦略的に統合し、自社のパーパスをわかりやすく共感できるストーリーに乗せて、多角的に発信しています。
パーパスによるインナーブランディングで「企業の存在意義」を発信しよう
パーパスによるインナーブランディングとは、企業の価値観や社会的意義を発信し、社員や株主といった自社のステークホルダーに浸透させる取り組みで、社員のモチベーションを高めて連帯感を強化できます。
また社員がSNSなどで積極的に情報発信をおこない、「企業の存在意義」を対外的に広めていく効果も期待できます。
インナーブランディングで重要なのは、社内広報だけではありません。
パーパスをわかりやすく共感できるストーリーやメッセージに落とし込み、対外的にPRしていくことも大切です。
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