インターネットの利用者数の増加により、Eメールやメルマガを通じたデジタルマーケティングが主流となりつつあります。
しかしプロモーション効果を高めるには、デジタルマーケティングに依存しすぎずDMをはじめとした従来のソリューションと組み合わせることが大切です。
メルマガとDMのメリット・デメリットは相互補完的
マーケティングやプロモーションの代表的な手段が、ダイレクトメール(DM:Direct Mail)やメールマガジン(メルマガ)です。
メールマーケティングは「デジタル」施策、DMは「アナログ」施策とされがちですが、それぞれメリット・デメリットがあることを知っておきましょう。
メルマガ | DM | |
メリット | ・低コスト ・手間がかからない ・すぐに反響がある | ・開封率が高い ・保存率が高い ・多くの情報を掲載できる |
デメリット | ・開封率が低い ・保存率が低い ・可読性のために情報量が犠牲になる | ・高コスト ・手間がかかる ・すぐに反響が得られない |
上記の表を見るとわかる通り、メルマガとDMのメリット・デメリットはそれぞれ対になっています。
一般社団法人ダイレクトメール協会の「DMメディア実態調査2019」によると、Eメールやメルマガが届いたあと、「ほとんど開封して目を通す」人は全体の19.6%です。
しかし、DMが届いた場合は45.7%の人が「ほとんど開封して目を通す」と回答しています。[注1]
コストとスピードならメルマガ、情報量と開封率ならDMと情報媒体を使い分けることがプロモーション戦略のポイントです。
アナログ・デジタルの組み合わせでプロモーション効果は高まる
メルマガとDMを掛け合わせることで、それぞれの媒体ではリーチできない顧客に対し、自社の製品やサービスを効果的にアピールできます。
日経BPコンサルティングが実施した「デジタル・アナログ領域のマーケティング施策実態調査(第5回)」でも、デジタル施策×アナログ施策の併用が、売上増加をもたらすことがわかっています。
プロモーションにデジタル施策のみを用いた企業では、「効果をあげている(45.7%)」が「効果をあげていない(53.0%)」を4年連続で下回りました。
一方、デジタル・アナログを組み合わせてプロモーションを実施した企業は、「効果をあげている(62.0%)」が「効果をあげていない(37.2%)」を上回り、2倍近い差をつけています。[注2]
メルマガ・DMを組み合わせることが、プロモーション効果を高めるうえで必要不可欠です。
デジタル×DM戦略の成功事例2つ
それでは、具体的にデジタル×DM戦略の成功事例を2つ見てみましょう。
DM・Eメールで注文率が4.7倍に
日本郵便はじめ3団体が産学協同で行った実証実験では、DMとEメールの最適な組み合わせにより、プロモーション効果が高まることがわかりました。
実証実験では、次の3つのクラスタを用意し、それぞれDMとEメールを送付する順番を変えました。
クラスタ1 | DM・Eメールの順に送付する |
クラスタ2 | Eメール・DMの順に送付する |
クラスタ3 | Eメールのみを2回送付する |
実証実験の結果はDM・Eメールの順に送付したクラスタ1のコンバージョン率がもっとも高く、Eメールのみのクラスタ3の4.7倍となりました。[注3]
紙媒体のDMは保存性が高く消費者は何度も見返せます。
まずDMを送付してからメルマガを配信することで、よりプロモーション効果を高められます。
デジタルソリューションを活用
日本郵便が主催する「第33回全日本DM大賞」の金賞に輝いたのが、カタログ通販会社のディノス・セシールです。
ディノス・セシールは、ファッションAIの「#CBK scnnr」を活用して、顧客の趣味や嗜好にパーソナライズされたDMを発送する仕組みを作りました。
AIを活用して、顧客が過去に購入した商品とよく似たファッションアイテムの写真をInstagramから抽出してDMの作成工程を自動化しました。
その結果、Webサイトへのレスポンスが約10%アップしています。[注4]
デジタル×DMの組み合わせで、メルマガでは突破できない壁を突破する
メルマガやDMによるマーケティングには、それぞれメリット・デメリットがあります。
片方に依存するのではなく、メルマガやDM、デジタルソリューションをかけ合わせることが、プロモーション効果を高めるためのポイントです。
コストやスピードに優れるメルマガ、開封率や情報量に優れるDMの長所を「二刀流」で活かしましょう。
・関連資料のリンク
[注1] 一般社団法人日本ダイレクトメール協会:「DMメディア実態調査2019」調査報告書要約版
[注2] 日経BPコンサルティング:「デジタル・アナログ組み合わせ施策」の満足度が上昇、「アナログ施策」満足度を上回る 上場企業のマーケティング施策
[注3] MarkeZine:富士フイルム×日本郵便×恩藏直人研究室の実証実験が明かしたBeyond digitalの意味
[注4] 全日本DM大賞事務局:グランプリはディノス・セシール 第33回「全日本DM大賞」受賞作品発表
・関連サービス:バリアブル印刷
記事に関するコメントはこちらよりお書きください