サブカルを売り出すマーケティング:「推し」のヒットを実現させるには何が重要か

サブカルを売り出すマーケティング:「推し」のヒットを実現させるには何が重要かプロモーション

昨年「推し」「推し活」という言葉が流行しました。

この「推し」とはマンガや映画などのサブカルチャーに関するものに対して誰かに薦めたいほど愛着を持つ人やもののことです。

推し活はイベントに行ったりグッズを買ったりなどして、サブカルの中心人物やコンテンツを支える活動を指しています。

推し活をする人が多くなったのには、サブカルのコンテンツを提供する側がデジタルメディアを巧みに使ったマーケティングを行ったことも大きく関係しています。

今回はアイドルと野球の2つの業界でマーケティング戦略を成功させた企業を取り上げます。

K-POP×デジタルマーケティング

日本でも人気のK-POP。

特にBTSはマーケティングの主軸を従来のマスメディアからSNSなどのウェブメディアにいち早く乗り変えたことで、世界規模で一気に名前を広めることに成功しました。

BTSが登場する以前は、韓国国内である程度のファンを獲得できたら、よりファン市場の大きい日本などの外国へ進出するケースが一般的でした。

しかし、この方法では韓国国内での仕事が継続しにくくなり、海外での新規ファン獲得と韓国国内での既存のファンの維持が両立できないデメリットがありました。

こうした問題に対して、BTSはネットコンテンツを巧みに利用することで解決していきました。

BTSは2013年にデビューしたのですが、この時期はちょうどTwitterやYouTubeの利用が世界的になり始めたころ。

当時、すでに他のK-POPアーティストもこれらのコンテンツは活用していましたが、あくまでイベントや商品の告知がメイン。

 

BTSはTwitterでファンと積極的にコミュニケーションをはかったり、Youtubeで自身のオリジナル番組を制作したりとネットを芸能番組やライブ以外での活躍の場として駆使しました。

特にYoutubeのコンテンツは従来の芸能番組と比べて、頻繁に配信できる上内容も自分たちの好みに合わせて決められるため、BTS自身にもファンにも大きなメリットをもたらしました。

こうしたデジタルコンテンツを駆使したマーケティング戦略は、その後のK-POPアイドルの活動プランのモデルとなりました。[注1][注2]

 

大リーグ×デジタルマーケティング

アメリカの四大スポーツに数えられる大リーグ。

しかし大リーグのファンは他の3つのスポーツに比べて年齢層が高いと言われており、2019年にオプティマム・スポーツ社が行った調査では、全米で放送された野球中継の視聴者の平均年齢が57歳となりました。

こうした背景を受けて、大リーグを運営するMLBのマーケティング担当者 バーバラ・マクヒュー氏はより若い層に大リーグに興味を持ってもらうための施策を行いました。

 

アメリカ国内に住んでいる大リーグのファンは、ESPNやMLBNなどといったスポーツ専門チャンネルで試合を観戦することが多いです。

しかしMLBではより若い世代でも気軽にみられるよう、現地で人気の高いストリーミング配信サイト”Twitch”と提携して、試合中継以外の番組コンテンツを放映するようにしました。

2021年にはTwitchにて、大リーグで活躍する選手たちの普段のファッションや球場で楽しめるグルメなどといった野球を知らない人でも興味が持てる情報を紹介するコンテンツを6時間放送しました。

このコンテンツは瞬く間に話題を呼び、累計で32万人ものユーザーが視聴しています。他にも選手たちのプライベートに密着したネット限定番組をYouTubeなどで配信することで、視聴者の注目を集めました。

また彼女は選手たちにSNSを使った情報発信を自ら行わせるようにして、代理店を通さないことでコストをかけずに、MLBの存在を広くアピールしています。

その結果、2021年のワールドシリーズ最終戦の視聴者数は1,100万人を突破して、前年度よりも20%以上増加しました。[注3][注4]

 

推してくれているファンとのコミュニケーションが大事

今回、BTSと大リーグに共通して見られた点は、SNSなどのコンテンツでファンとのコミュニケーションを頻繁に取ること。

かつてはどことなく神秘的で近寄りがたい存在だったアーティストやアスリートも、ウェブメディアにより一挙に親近感が湧いて応援で支えたくなる存在として親しまれるようになりました。

ウェブメディアを使ったマーケティング戦略は、従来のサブカル好きのファンのこうした心理をくすぐるだけでなく興味の薄いライト層にも知ってもらえる力があります。

プライベートのたわいもない内容の投稿をきっかけに、新たなファンが生まれてくれたらマーケティングとしては成功ですね。

 

・関連資料のリンク

[注1] DIAMOND SIGNAL:「K-POP業界の未来予想図──2022年の注目キーワードは「メタバース」と「NFT」」
[注2] 
The Washington Post :“Why is K-pop so popular?”
[注3] AdAge :“HOW MAJOR LEAGUE BASEBALL IS TRYING TO DRAW MORE YOUNG FANS”
[注4] 
FOX Sports :“FOX Sports Taps Ace Broadcaster Joe Davis as the New Voice of MLB on FOX”

 

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