消費者の好みが多様化したことでマーケティングにおいて、よりターゲットの行動・思考・感情を細かく想定する必要が生まれました。
このようにターゲットを細部まで分析する際に役立つのが、カスタマージャーニーマップというフレームワークです。
本記事では、カスタマージャーニーマップの作り方や作成時の注意点を解説します。
カスタマージャーニーマップを作る前には目的を明確にしておく
カスタマージャーニーマップとは、顧客の行動・思考・感情を時間軸に沿って記述しコンバージョン(商品やサービスの購入や契約など)に至るストーリーを「見える化」するためのフレームワークです。
カスタマージャーニーマップを作る前に大切な作業が、マーケティングの目的やコンセプトの明確化です。カスタマージャーニーマップを通じて何を「見える化」するのか、作成前によく検討しましょう。
カスタマージャーニーマップの究極の目的は、顧客の購買意欲を刺激して自社ブランドの信頼性を高め顧客体験(UX:ユーザーエクスペリエンス)を最大化する点にあります。
明確で抜け漏れのないカスタマージャーニーマップを作成し、顧客行動の可視化に成功すれば顧客1人ひとりを満足させられる効果的なマーケティング施策を打ち出せます。
カスタマージャーニーマップの作り方4つのステップ
カスタマージャーニーマップは次の4つのステップで作成できます。
ステップ1.まずはペルソナを決める
まずはカスタマージャーニーの主役であり、商品やサービスの主要なターゲットである顧客モデル(=ペルソナ)を決めます。
試しに以下のペルソナを設定してみました。
35歳、コンサルティング会社勤め、管理職、趣味は映画鑑賞
「20代の独身男性」「30代の既婚女性」とアバウトに定義するのではなく、事前のアンケートやヒアリングを参考にしつつ、商品やサービスを購入してくれそうな人の具体的なプロフィールを設定します。
時には想像力も働かせながら、「35歳、コンサルティング会社勤め、管理職、趣味は映画鑑賞」と細部に渡ってペルソナを設定しましょう。
ペルソナ | 35歳 コンサルティング会社勤務 管理職 趣味は映画鑑賞 | |||
ステップ2.マップの縦軸を決める
ペルソナを設定したら、以下のように、カスタマージャーニーマップの縦軸を作成します。
ペルソナ | 35歳 コンサルティング会社勤務 管理職 趣味は映画鑑賞 | |||
フェーズ | ||||
タッチポイント | ||||
思考 | ||||
感情 |
- フェーズ:ペルソナの行動・思考・感情が変化する出来事や時間軸を意味します。
この項目は後ほど設定します。 - タッチポイント(行動):その時々のフェーズで、ペルソナが製品やサービスについてとるだろう行動を意味します。
- 思考:製品やサービスに接したペルソナが、その時々で持つだろう思考のことです。
たとえば、「この製品の安全性は?」「料金は妥当か?」などです。 - 感情:思考と同様、ペルソナが商品やサービスについて抱きそうな感情を予測します。
ステップ3.マップの横軸を決める
カスタマージャーニーマップの縦軸を作成したら、次は横軸を作成します。
横軸となるのは、ペルソナの行動・思考・感情のターニングポイントとなる「フェーズ」です。
一般的には次の4つのフェーズを設定します。
ペルソナ | 35歳 コンサルティング会社勤務 管理職 趣味は映画鑑賞 | |||
フェーズ | 認知 | 興味 | 検討 | 導入 |
タッチポイント | ||||
思考 | ||||
感情 |
- 認知:ペルソナがなんらかの手段で製品やサービスを知ったときの時間軸です。
- 興味:製品や商品を知ったペルソナが、それらに興味をいだいたときの時間軸です。
- 検討:商品やサービスに興味を持ったペルソナが、購入や契約へ向けて検討しはじめる段階です。
- 購入:商品やサービスの購入や契約に結びついた段階です。
ステップ4.フレームワークを埋めていく
マップの縦軸と横軸を作成したら、フェーズ(横軸)ごとに想定される行動・思考・感情(縦軸)の欄を埋めていきます。
行動・思考・感情は、ポジティプなものだけでなく、ネガティブなものも書き込みます。
可能な限り、ユーザーへヒアリングやアンケートを行い、各項目を検証していく姿勢が大切です。
カスタマージャーニーマップを作ることが「ゴール」ではない
注意が必要なのは、カスタマージャーニーマップの作成そのものが「ゴール」になってはならないという点です。
カスタマージャーニーマップは、商品やサービスの購入に至るまでの顧客の行動・思考・感情を予測し、ユーザーエクスペリエンスを最大化するためのフレームワークです。
独りよがりな予測をしたり、企業側の願望を押しつけたりするのではなく、「どうすればよりよい顧客体験になるか」を考えながら、時にはアンケート調査などのデータも活用しつつ作成しましょう。
カスタマージャーニーマップはUXを最大化するためにある
カスタマージャーニーマップは、顧客行動を可視化してユーザーエクスペリエンスを最大化するためのフレームワークです。
カスタマージャーニーマップは以下の4つのステップで作成できます。
- ペルソナを決める
- マップの縦軸を決める
- マップの横軸を決める
- フレームワークを埋めていく
「どうすればよりよい顧客体験になるか」を常に考え、ヒアリングやアンケートによる検証も行いましょう。
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