文様デザイナーのfujimoです。
文様デザインに携わっていると、多くの機会で水引きを目にするのですが、その繊細さと多用な美しさに、いつもドキドキしてしまいます。
日本には古来から物やカタチや文様などに思いを寄せて気持ちを伝える「寄物陳思(きぶつちんし)」という文化があります。
その風習のひとつが水引きです。
昔から日本人は喜びや悲しみに願いや弔いの気持ちを込めて、様々なかたちに水引きを結ったといわれています。
表情豊かな水引きの文化を現代の暮らしに蘇らせるべく、近頃はトラディショナルなものだけではなく、スタイリッシュなデザインやかわいらしいデザインもたくさん出てきています。
水引きの起源は千年以上も前にさかのぼる
水引きの起源は飛鳥時代といわれています。
小野妹子が中国から持ち帰った贈答品の中に航海の無事を祈って紅白の紐がかけられていたそうです。
それが後に和紙を用いて作ったことが水引きの始まりとされています。
現在では長野県や愛媛県など、限られた地域でしか生産されていないようです。
水引きのかたちをご紹介(有名どころ編)
水引きのかたち①:「梅結び」
春の到来を真っ先につげる梅の花は、その可愛らしいかたちから人気の結びです。
お祝い事全般のあらゆるシーンで使われています。
水引きのかたち②:「淡路結び」
冠婚葬祭などで金銭を送るシーンで使われています。
「末永く付き合う」という意味を持ち、結婚祝いやお見舞い、退院祝いのほか、謝礼や餞別、葬儀などの弔事にも適しています。
水引きのかたち③:「淡路結び」
花から花へと優雅に飛び回る蝶は長寿や子孫繁栄の象徴とされています。
「てふてふ」と発音していたことから良いことが重なるという意味も持つ、華やかな結びです。
その他にも「相生結び」「亀結び」「御神酒結び」「鶴結び」…など様々な結びが、表情を持ち「大切な誰かに送る」気持ちを表してくれます。
新年や冠婚葬祭だけではなく、友人へのちょっとしたプレゼントのアクセントにも品のある演出を施してくれます。
近頃では、アクセサリーやファッションにも展開されることも多くなり、日常のワンシーンを彩ってくれる存在になったように感じます。
結びという「想い」が込められた日本古来の文化
人にはみなそれぞれ想いや願いを込めたり、相手を悼み慰めたりなど「人を思いやる」機会が多々あります。
先人達はそんな気持ちを文様や水引きで静かにさりげなく伝えてきたのかも知れません。
日本独自の奥ゆかしさやもてなす心をこうした歴史に絡め、誰かに想いを伝えることは自分自身の心も癒やしてくれる…そんな気がします。
記者名:fujimo
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