少子高齢化が深刻化している現代日本では、塾の集客のハードルが年々高くなってきています。
従来の方法で集客しようとしても、なかなか人を集められない可能性も考えられるため、塾に適したマーケティング手法を採用することが大切です。
今回は、塾の集客に適したマーケティング手法と、マーケティング効果を高めるポイント、塾の広告を出すときの注意点について解説します。
塾の集客に適したマーケティング手法
塾の集客に適したマーケティング手法は複数あります。
どれかひとつに絞るよりも、複数のマーケティング手法を同時に実行し、多角的なアプローチを試みることをおすすめします。
ここでは、塾の集客に適したマーケティング手法を7つ紹介します。
チラシや冊子の配布
塾に関する情報を載せたチラシや冊子の配布は、昔ながらのマーケティング手法です。
チラシや冊子を作成・配布する手間と時間、コストがかかるところはネックですが、学校帰りの子どもに手渡すなど、ターゲットを絞って情報を提供できるところが特徴です。
看板の設置
塾の前はもちろん、通学路の途中などに看板を掲げておくと、ターゲットとなる子どもや親の目に情報を触れさせやすくなります。
人目につくデザインや文言を考えれば、看板を見た人の記憶に残り、問い合わせにつながる可能性も高くなります。
口コミやレビューの紹介
通塾している人にアンケートをとり、評価が高いことや強みがはっきりわかる口コミを選定して塾の公式サイトなどに掲示します。
通塾している人ならではの口コミや体験談は、塾を検討している方にとって非常に参考になる情報ですので、高い集客効果を見込めます。
あわせて紹介キャンペーンなどを実施すれば、通塾者を通じて、その友人や知人にアピールすることも可能です。
イベントの実施
テストや模試、長期休みなどのタイミングに合わせて塾の無料体験イベントなどを実施するのも有効なマーケティング手法のひとつです。
どんな授業をやっているのか、教室の雰囲気はどうかなどの情報を実際に体験してもらえるので、塾への興味や関心が高まりやすい傾向にあります。
公式WEBサイトの開設
公式ホームページを開設し、必要な情報やお役立ちコンテンツを発信していく手法です。
個人のインターネット利用率が8割を超えている現代において、オンライン上での情報発信は必要不可欠ともいえる施策です。[注1]
気になる塾の情報を調べる場合、ほとんどの人はポータルサイトから検索し、塾の公式サイトにアクセスしますので、必要な情報を的確に発信していれば、効率的な集客方法となります。
ただ、公式ホームページはほとんどの塾が運用していますので、ほかの塾との差別化を図れる工夫を講じる必要があります。
公式SNSの運用
手軽に情報を閲覧・発信できるSNSは、若者を中心に絶大な支持を得ているサービスです。
とくに主な通塾対象となる13~19歳の若者のSNS利用率は8割を超えており、ターゲットに効率よく情報を届けられる媒体といえます。[注2]
ただ、古い情報はあっという間に淘汰される場でもありますので、SNSをマーケティングに活用する場合は、定期的に情報を発信していく必要があります。
リスティング広告の掲載
リスティング広告とは、検索エンジンに掲載するWeb広告の一種です。
「◯◯市 学習塾」など、関連性の高いキーワードで検索した場合、検索結果ページのトップなどに広告が表示されるようになるので、塾を検討しているターゲットへピンポイントで働きかけることができます。
塾のマーケティング効果を高めるポイント
塾のマーケティング効果をより高めるために押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
1. 集客マーケティングの効果を測定・分析する
集客マーケティングにはさまざまな手法がありますが、いずれも一定の手間と時間、コストが発生します。
費用対効果の低いマーケティングを続けていると、コストがかさんで経営が苦しくなることも考えられます。
集客のためのマーケティングを行ったら、必ず効果を測定し、どの程度の成果・結果につながったのかを確認しましょう。
たとえば、公式ホームページなら、アクセスしてくれた人の数や属性、ページごとの閲覧時間、ホームページへの流入経路などを分析することで、運用コストに比べて高い集客効果を出しているかどうかをチェックできます。
思ったような効果が出ていない場合は、配信する情報やコンテンツの内容を見直す、ホームページへの流入経路を増やすなどの対策を講じると、マーケティング効果アップを目指せます。
2. 見込み客へのフォローをしっかり行う
集客マーケティングが功を奏し、問い合わせや資料請求、無料体験への参加などのアクションが発生したとしても、そのすべてが入塾につながるわけではありません。
中には、問い合わせや資料請求しただけで、何の音沙汰もなくなるケースもあります。
しかし、そこで諦めてしまうと大事な見込み客を逃してしまうおそれがあります。
問い合わせや資料請求、無料体験への参加を行った見込み客からは、氏名や住所、電話番号などの情報を入手しているはずです。
イベントやキャンペーンの案内を載せたDMを発送したり、季節講習の前に電話連絡を入れたりして、コミュニケーションを切らさないようにしましょう。
アクションを続ければ、ターゲットが再び入塾を考え始めた際、真っ先に検討候補に上る可能性が高くなります。
3. 集客ばかりに固執しない
集客マーケティングばかりに手間や時間、コストを割いていると、肝心の授業や既存の生徒への対応が疎かになりがちです。
新しい入塾者が増えても、既存の生徒が退塾してしまっては意味がありません。
集客ばかりに固執せず、授業や既存生徒への対応の質を高める努力を怠らないようにしましょう。
塾の広告を出すときに注意すべきポイント
塾の広告を出すときは、景品表示法に違反しない表現を採用しているかどうかが重要なポイントです。
ここでは塾の広告を出すときに注意したいポイントを3つ紹介します。
1. 優良誤認表示になる表現はNG
塾が提供するサービスについて、実際のもの、あるいは同業他社のものより著しく優良であると示すことは禁じられています。[注3]
たとえば「満足度No.1」など、合理的根拠を提示しにくい表示を広告に掲載するのはNGです。
2. 有利誤認表示になる表現もNG
塾が提供するサービスについて、実際のもの、あるいは同業他社のものよりも取引の相手方(顧客)に著しく有利であると誤認されるような広告表示は禁じられています。[注3]
たとえば、同業他社に比べて授業1時間あたりの単価が安いと表示しておきながら、実際には提示していた料金よりも単価が高かった場合などは、有利誤認とみなされます。
3. 誇大広告になる表現もNG
「日本一」「最高」など、最高級の優位性を示したり、唯一無二のものであると示したりするキーワードは、客観的な事実に基づく数値や根拠なしに使用することはできません。
これらのキーワードを使用したい場合は、客観的な事実を提示し、間違いなく「日本一」「最高」の塾であることを証明する必要があります。
現実的には非常に難しいことなので、広告上でこうしたキーワードの使用は避けたほうが無難です。
塾の集客は複数のマーケティング手法を活用しよう
塾の集客に利用できるマーケティング手法は複数あり、それぞれ特徴が異なります。
現在はインターネットの普及により、マーケティングの幅はますます広がっているため、複数のマーケティング手法を活用して多角的なアプローチを目指すことをおすすめします。
マーケティングを行った後は必ず効果を測定・分析し、必要に応じて改善を加えることで、よりよい集客マーケティングが可能です。
なお、マーケティングに広告を利用する場合は、景品表示法に違反しないよう、表現には十分注意を払うようにしましょう。
・関連資料のリンク
[注1] 総務省「令和4年版情報通信白書 第8節 デジタル活用の動向」p94
[注2] 総務省「令和3年版情報通信白書 第2節 ICTサービスの利用動向」p310
[注3] 消費者庁「事例でわかる景品表示法」