印刷物の制作や発注に携わっていると、耳慣れない印刷用語に出くわすことはありませんか?
印刷のことは全て印刷会社にお任せ!という方もいらっしゃると思いますが、印刷の基礎知識を知ることで業務効率の改善につながるかもしれません!
今回は、印刷の基礎の基礎、印刷の歴史について紹介していきます。
印刷の発祥は紀元前までさかのぼれる
印刷の歴史は紀元前4,000年頃、古代バビロニアの押圧印刷(瓦書)から始まります。
紀元前3,500年頃には、パピルスという水草の茎を加工して書写材料として発展します。これはパピルス紙とも呼ばれ、紙を意味する「paper」の語源にもなっています。
やがて2世紀頃の中国で製紙の技術が発明され、7世紀頃には木版印刷が始まります。
そして1440年頃、ドイツのヨハネス・グーテンベルグが活版印刷術を発明したことで、多くの書物が世に出回り、大量発行の時代が到来しました。
活版印刷術の発明により「四十二行聖書」が普及し、ルターが宗教改革を成功させた功績から、羅針盤、火薬とともに、活版印刷術はルネサンスの三大発明と呼ばれました。
現代における印刷技術の発展の歴史
グーテンベルグが発明した活版印刷は、鉛で出来た「活字」を組み合わせて作った活字組版を用いて、ハンコのように紙にインキを転写するという方法です。
1924年に「活字」を使わずに写真の原理を利用した和文写植機が発明されます。この写植機というのは、ガラスプレートに書かれた文字板から光を透過させてフィルム等に焼き付けることで版を作る機械です。
その後コンピュータの普及や発達により、手動写植からコンピュータ上で行える電算写植が主流となりました。
またDTP(デスクトップパブリッシング)の誕生によって、版下の制作や印刷までの様々な工程をパソコン1台で行えるようになりました。
かつては台紙に図版や文字を切り貼りして作っていた版下も、データ上で一部分だけを可変した膨大なパターンの版を即座に作成できるようになり、版を持たないデジタル印刷が少部数でのバリアブル印刷を可能にしました。
版を必要とするオフセット印刷に関しても、以前は版下のデータを作成してからフィルムを出力し、そのフィルムを焼き付けることで刷版(印刷用の版)を作っていたのに対し、現在ではデータから直接刷版を出力できる「CTP」が主流となり、工程の削減が可能になりました。
ネットが普及した今もなお印刷の重要性は健在
現代では、印刷技術が発明された時代の「大量発行」の時代から、適正部数による「少量発行」の時代へと移り変わってきています。
情報伝達に優れたメディアが多様化し、電子書籍やインターネット事業の普及に伴い、印刷部数は減少、印刷市場は年々縮小しています。
しかし、すべての印刷物が電子媒体、インターネットにとってかわるわけではありません。
例えば、一般社団法人ダイレクトメール協会の「DMメディア実態調査2019」によると、Eメールやメルマガが届いたあと、「ほとんど開封して目を通す」人は全体の19.6%です。
しかし、DMが届いた場合は45.7%の人が「ほとんど開封して目を通す」と回答しています。[注1]
書き込みが出来る、パラパラとめくって見られる、視聴媒体による色味の変化がない…等、印刷物独自のメリットや効果は様々です。
コストと効果のバランスを考え、適正部数を印刷することが、今の時代に大切なことだと言えます。
メルマガとDMの調査に関してはこちらの記事も見てね。
印刷には実は長くて深い歴史がある
今回は少し雑学が多くなってしまいましたが、印刷の歴史から始まり、現在の印刷物のおかれる状況についてもお話ししました。
今回も少し触れましたが、次回は印刷の種類について深堀りして説明したいと思います!
最後までお読みいただきありがとうございました。
・関連資料のリンク
[注1] 一般社団法人日本ダイレクトメール協会:「DMメディア実態調査2019」調査報告書要約版
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