「一個一個別々の内容を効率よく印刷する技術」
社内の全員に支給する名刺や個別のシリアルナンバーやパスワードが明記されたはがきなど、一つずつ違う内容を差し替えながらまとめて印刷するための技術が「バリアブル印刷」です。
今回はバリアブル印刷をさらに発展させた「イメージバリアブル」も含めて、メリットやどういう方におすすめなのかご紹介いたします。
「バリアブル印刷」ならではの特徴としくみ
バリアブル印刷とはバリアブル(変更できる)という意味の通り、一枚ごとに違う内容のテキストを差し替えながら印刷する技術です。
例えば150人分の名前入りの賞状をすぐに手配したいという場合、バリアブル印刷により氏名のところに可変データを入れ込むことで、同じデザインに違う名前がそれぞれ記載された賞状を人数分出力することができます。
一般的なオフセット印刷で使われる版は、レーザーなどで印刷する部分を区分けするように版に原稿を焼き付けて加工するため、一度生成された版を部分的に変えるということはできません。
一方バリアブル印刷は版を使わないデジタル印刷を採用しており、パソコンから送られてきた原稿データを直接印刷しています。
この時パソコン側のプログラムにより表示内容を変えることで、それぞれ別々の内容に出力できるようになっています。
「バリアブル印刷」ならではの4つの強み
① 手書き・手入力の手間を大幅カット
バリアブル印刷の一番のメリットは何より、印刷物に手作業で一つずつ個人情報やメッセージを入れていた作業負担をカットできることです。
例えば300名の顧客に向けて暑中お見舞いのはがきを送りたいという場合、バリアブル印刷では社内で管理している送り先の名簿などを原稿データに引っ張ってくるだけでOKです。
どこの情報をどんな風に出力したいか印刷会社に連絡すればバリアブル印刷用の原稿データを作成してくれるため、Excelの関数やBVAの知見がない方でも思い通りの内容に発注することができます。
またデータを自動で出力してくれるため、通常に印刷した後に手入力や手書きで加筆する際に起こりがちな誤字脱字や誤変換のリスクも防げます。
② 画像の差し替えにも対応している
バリアブル印刷にはイメージバリアブルというものもあり、文章だけでなく画像のデータも個別に差し替えながら印刷することが可能です。
写真やイラストだけでなく地図画像やQRコードなど様々なものを入れられるため、あらゆる用途で応用できます。
例えば顧客の誕生月に限定セールのDMを送るときに、顧客一人ひとりの誕生日に合わせた日めくりカレンダーのイラストを掲載できます。
また背景や画像に重ねるような形で、個別で違う内容の文章を掲載することもできます。
そのため誕生日ケーキの写真のプレートに、「×月△日、〇〇様のお誕生日おめでとうございます!」といったメッセージを添えて出力することも可能です。
画像データの位置を適宜調節しながら印刷することもできるため、送る相手にあわせてチェックマークを別々につけた印刷物などもつくれます。
③ アクセス情報の効果測定ができる
MAやCRMといったシステムを社内で使っている場合、バリアブル印刷で埋め込んだデータを連携させることで顧客の行動情報を手軽に分析できます。
特にQRコードはスマホでスキャンするだけなので、ユーザーが気軽にアクションに移りやすくアクセス情報を集めやすいです。
またポスターの場合、設置場所によって違うQRコードを入れたものを用意すれば、広告効果の高い時間帯や地域を簡単に調べられます。
設置場所やテキストの配置パターンなど複数の種類を用意してABテストをかけることで、より効果を期待できる販促ツールへとつなげられるでしょう。
④ 紙以外のものにも印刷できる
バリアブル印刷はシールやパネル、アクリルスタンドなど印刷用紙以外の素材にも実施できるため、オリジナルグッズなどの制作にも活用できます。
例えばキャラクターのアクリルスタンドにランダムで数種類のセリフを入れながら制作したい場合、バリアブル印刷を用いることで簡単に思い通りのものを作ることができます。
またバリアブル印刷を使ってグッズにシリアルナンバーを記載すれば、偽造防止にも役立ちます。
「バリアブル印刷」で実現できるこんなこと
「一人ずつ作ったような仕上がりのDMを送りたい」
バリアブル印刷なら自動生成で出力したとは思えない自然な仕上がりで出力されるため、さりげない手作り感を演出できる印刷物がつくれます。
そのためバリアブル印刷は、年賀状や暑中見舞いなど顧客や取引先とのコミュニケーションツールにも活用できます。
「地域やブランドごとに違う販促ツールを配布したい」
複数の地域に展開している企業やブランドチェーンをいくつも経営している企業の場合、地域やブランドに合わせて内容を変えたDMやチラシを制作することができます。
またマーケティングのツールと連携すれば、アクセス情報を細かく集計して得た結果を今後の販促戦略に活かすことも可能です。
「大規模なイベントのチケットをすぐに用意したい」
コンサートや公演といった大人数が参加するイベントのチケットも、バリアブル印刷により人数分の座席番号などを一枚ずつ出力させて用意できます。
また座席の種別にあわせたカラーデザインを背景に使用したり、座席の位置を表したマップ画像を入れることもできるため、情報が伝わりやすいデザインのチケットとなりますよ。
バリアブル印刷なら文章も画像も柔軟に変えて印刷できる
バリアブル印刷は個別に文字や画像を差し替えながら印刷できる技術です。
版を使わないデジタル印刷により、原稿データさえあればパソコンから自動で出力できるのが特徴で、名刺やDMなどの印刷物をスムーズに用意することができます。
またイメージバリアブルは画像を変えながら印刷できる技術で、写真やイラストだけでなくQRコードなども個別に掲載できます。
バリアブル印刷を導入すれば印刷した後に手作業で一つずつ加筆する手間が省けるほか、誤字脱字のある状態で送信してしまうリスクも減らせます。
また折り込みチラシやチケットなどに個別にQRコードを掲載することで、ユーザー情報を集計してアクセス分析できるのもメリットです。
原稿データを差し替えながら一つずつ用意することで、一人ひとりによりエンゲージメント向上へつなげやすい印刷物が作れるでしょう。
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