現在、公立学校を中心に教育の現場で教科書や教材のデジタル化が急ピッチで進められています。
きっかけは2019年に始まったGIGAスクール構想。
これは全国の義務教育を受ける児童全員に一人一台の情報端末とインターネット環境を準備する文部科学省の取り組みです。
そんな中、現在多くの教科書会社で紙の出版物を中心にQRコードを掲載する動きが見られています。
そこで今回は今の教科書におけるQRコードの役割から、印刷物にQRコードを掲載することでどのようなことができるか説明します。
教科書のデジタル化はここまで進んでいる
2023年3月、文部科学省は翌年度から全国で使われる小学校・高校用の学習教材を検定・審査した結果を発表しました。
この検定対象のうち、小学校用学習教材は11教科の149点全て、高校用学習教材は共通教科の45点中44点にQRコードが掲載されていることから、今の教材にとってQRコードは必要不可欠なものになったといえます。
このうち小・中学生向けの英語教材が2024年から各学校で導入が予定されて、その後には算数・数学の教材の導入が計画されています。
教材に掲載されたQRコードをスマートフォンやタブレットで読み取ると、学習内容に関連した内容のWEBサイトや映像や音声にアクセスできます。これにより各教科で以下のことが期待されています。
- 国語…古文・漢文の自動読み上げ、熟語や表現の意味の確認
- 算数・数学…図形問題の視覚的なアプローチ、表・グラフの作成
- 英語…英単語の発音の確認、会話文の自動読み上げ
- 社会…日本・世界各地の社会・文化の理解、歴史の時代的・地理的な理解の促進
- 理科…身の回りでおこる科学的な現象の理解、動植物の生態などの理解の促進
などなど…
これまでビデオやCDなどの媒体を使わないとできなかったことも、QRコードで可能になったのは大きいです。
その一方でQRコードを教科書に掲載することには、いくつか課題点も存在します。
ある国語の教材で物語文の途中まで紙媒体に教科書に掲載して、その続きをQRコードでアクセスするWEBサイトにのみ掲載したことがありました。
しかしまだデジタル教材が普及されていない学校の生徒に不公平といった意見が起こり、結果として紙媒体の教科書にも物語の結末まで掲載することになりました。
またQRコードのリンク先は基本的に教科書会社が運用するコンテンツであることが求められているため、警察庁や厚生労働省の公式サイトにリンクするQRコードを掲載したものが後ほど修正される事例も起こっています。
さらに自治体によって教科書のデジタル化そのものの進み具合にバラつきが見られます。
文部科学省の調査によると、2022年4月1日時点での生徒用のデジタル教科書の普及率は全国平均で36.1%です。
しかし最も普及が進む和歌山県が53.9%なのに対して、一番普及が遅れている愛知県は20.9%とかなり大きな差があるのが分かります。[注1]
他にもQRコードを読み込む情報端末が故障などで利用できなくなった際の対応や、教師によってデジタル教材の操作能力が異なるといったことも問題として指摘されています。
紙媒体にQRコードを掲載してできること
そもそも紙媒体の印刷物にQRコードを掲載すれば、どのような使い道に活用できるのか主な事例をまとめました。
WEBサイトやWEBサービスへのリンク
QRコードの基本的な使い方として、文章の内容に関連するWEBサイトやWEBサービスへの導線を設置することが挙げられます。
特に交通情報やイベント情報など、リアルタイムで内容が次々と変わる可能性があるものを知らせたいとき、即座に内容を更新できるWEBサイトをQRコードで連携させればスムーズに読者を誘導できます。
他にも店舗や会場までのアクセス方法を紹介するため、WEBの地図サービスに誘導するといった使い方もあります。
また商品カタログにECサイトへ誘導するQRコードを貼ることで、読者が気になった商品をワンストップで購入できる仕組みが作れます。
PDF資料などのファイルのダウンロード
WEBにアップロードされたファイルに直接アクセスできるQRコードを貼れば、読者が自由にダウンロードできるようになります。
すでに観光マップやデジタルクーポン券、各種証明書や取扱説明書など多くのものにダウンロード用のQRコードが使われているため、この記事を読んでいる方も一度は使ったことがあるかと思います。
紙媒体のものは紛失や破損のリスクがありますが、デジタルファイルなら一度削除してもQRコードを読み込ませてすぐに再インストールできます。
また教育機関では、分からなかった部分を後で復習できるように追加問題をダウンロードできるQRコードを設置したテスト用紙を導入したところもあります。
動画ファイルや音声ファイルの自動再生
紙面ではなかなか分からない音や物の動きも、QRコードを読み込んだ端末で音声や動画を流すことで読者に伝えることができます。
例えば図鑑や辞書にQRコードを入れることで世界遺産の内部やクラシック音楽の傑作もマルチメディアで解説できます。
他にも英語や外国語の教材に単語や文章の読み上げ機能のQRコードを掲載したり、映画やアニメの宣伝に予告編の動画へ誘導するQRコードを貼ったりする使い方もあります。
また視覚的に文字が見えづらい方や日本語が分からない方などのために文章の自動読み上げ機能をQRコードで誘導することで、印刷物のバリアフリー化にもつながります。
WEBコンテンツやWEBキャンペーンへの誘導
あみだくじや3択クイズなどゲーム性のある要素を物事に加えることを「ゲーミフィケーション」といいます。
ゲーミフィケーションの仕組みを用いたQRコードを貼ることで、読者が紙面の内容にも注目しやすくなります。
観光雑誌なら取り上げているスポットのスタンプラリー、ファッション雑誌なら今日着ていくアイテムの占い、芸能雑誌なら有名スターに関するミニクイズ…といった風に印刷物の内容に合わせて様々なWEBコンテンツと連携できるのも特徴です。
実際に、ちょっとした息抜き感覚でできる復習用のミニクイズをQRコードで連携させている学校教材もあります。
QRコードは紙とデジタルをつなぐ橋渡し役になってくれる
現在どの業界でもDXが進んでいる中、紙媒体とデジタルコンテンツを連携させて補完するような役割を担うのがQRコードです。
多くの学校教科書でもQRコードが掲載されており、WEBサイトへ誘導するだけでなく音声が流れたり書類をデジタル上で配布したり色々な役割での活用が見込めます。
弊社ではデザイン性が強くてより注目してもらえやすい「デザインQR」や、QRコードの誘導先となるWEBコンテンツを制作する「サクッとキャンペーン」を「スマホの入口」というサービスで行っています。
※ QRコードはデンソーウェーブの登録商標です。
・関連資料のリンク
[注1] 文部科学省│令和3年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果
・関連サービス
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