ダイレクトメールといえばリードとなりそうな人にアプローチをかけることで、会社やそのサービスあるいは商品を知ってもらうための大切なツールです。
ダイレクトメールにはハガキなどの紙媒体とEメールの2通りのやり方がありますが、きちんと展開したのに思うように効果が出ないという方もいるかと思います。
そこで今回は、Eメールと紙媒体それぞれの方法でDM展開したときのデメリットを踏まえながら、両方を駆使する「クロスメディア」によるDM施策についてまとめて解説いたします。
EメールでDMを展開する際のおもなデメリット
MA(マーケティングオートメーション)を導入する企業も多くなり、WEBでのDM展開は多くの企業がやっているかと思います。
しかしそんなWEBでの施策でもデメリットがないわけではありません。
① ブロッキング等によるバウンス
バウンスとは跳ね返るという意味で、フィルタリングなどに弾かれてしまいメールが相手へ届かなくなる状態です。
顧客の個人情報や特許技術など漏洩してはいけない機密情報を多く扱う現場では、セキュリティ上の理由から外部から来るメールに厳重なフィルタリングを設定しています。
そのため送信先のファイアウォールやセキュリティシステムがスパムや迷惑メールの疑いがあると判断した場合、普通のメールでもバウンスされてしまうことがあります。
Gmailでも2024年2月から、有害なメールを検出する認証技術であるDKIM/SPFによる認証を得ていないメールはセキュリティ上の観点から受信されなくなる可能性が高くなっています。
② HTMLメール送信に関する制限
EメールにはWEBページのように文字の装飾や画像を自由に施せるHTMLメールと、本文のみ入れられるテキストメールがあり、相手の印象を強めるためには本来HTMLメールでDMを配信するのがセオリーです。
しかしHTMLメールは開封した端末にウイルスを感染させるといった悪質な行為もできるため、外部から受信できないようブロッキングしている会社も少なくありません。
実際に日本ビジネスメール協会の「ビジネスメール実態調査2023」でも、回答者の6割がBtoBなどの仕事関連のメールにテキスト形式のものを利用していると答えています。[注1]
テキストメールであれば基本的には確実に相手に配布できますが、文面からのインパクトを出して読む人の興味を高めるのがしにくいデメリットもあります。
③ 誤送信などによるセキュリティ事故
一度に不特定多数の宛先に送信できる利便さは紙媒体にはないEメールの強みといえますが、反対に内容に誤りがあった場合はトラブルとなる前に速やかに対応しないといけません。
特に顧客や取引相手などの個人情報が第三者に漏洩してしまえば、重大なセキュリティ事故へとつながるリスクも考えられます。
誤送信や添付ファイルの設定ミスなどの過失により、住民や会員の個人情報が拡散されてしまうニュースは毎年のように起こっています。
CCとToの宛先を入れ間違えたといったちょっとした間違いがトラブルの要因となるため、DMの作成時や送信時に徹底したセキュリティ管理が必要となってきます。
紙媒体でDMを展開する際のおもなデメリット
ハガキや三つ折りチラシなどの紙媒体を用いたDMは、DXが浸透した現在でもメジャーなマーケティングツールです。
Eメールにはない独自の強みもありますが、一方で以下のデメリットも挙げられます。
① 郵送に関する費用・事務の負担
紙媒体のDMを郵送するコストは、数量や配達日などの条件で複雑に変わってきます。
何千何万部と送付したい場合、日本郵政による割引制度を使うこともできますが、事前に郵便局からの承認を得たり宛先ごとに郵便物を仕分けしたりする必要があり、業務の負担が多少増えてしまいます。
また他県の取引先に送る際は遠距離になるため郵送料もそれだけ増えてしまい、日本全国や国外に顧客のいる企業であればなおさら負担も大きいです。
② 紙面に掲載できる情報量の制限
DMにはハガキだけでなくチラシやリーフレットなども活用できるものの、いずれにしろ紙面のサイズは決まっているため掲載したい情報を必ずしもすべて詰め込めるわけではありません。
また視覚的なインパクトを強めたい場合、視線が自然と一番紙面でアピールしたいところに向くようなデザインにするために情報量をある程度削除する必要も出てきます。
一般的にはがきに記載できる文字数は200字から300字ほどといわれ、これはちょうどこの小見出し1つ分とほぼ同じ。
一回の送信できちんと情報を伝えたい場合はハガキ以外の冊子などを別途用意して送ることになるため、郵送料の負担も増えやすいです。
③ 郵送後の効果が測定できない
紙媒体のDMは「開封してきちんと読んでくれたか」、「会社のことを認知してくれたか」といった郵送後の相手の状態が分析できないのも大きなデメリットです。
DMなどのツールに関するリードの反応は、マーケティングではとても重要なデータとなります。反応の良し悪しを見ながらプロモーション施策を考えれば、営業結果への好影響にもつなげられるからです。
広告業界では紙媒体からWEB媒体へと年々移行しているのですが、その理由の一つとして紙にくらべてWEB媒体は送信後の相手の反応を分析しやすい点が指摘されています。
クロスメディアで弱点をカバーし合った施策を
上記で見た通り、DM展開の方法としてEメールと紙媒体はメリットもデメリットも大きく異なるため、どちらが最適かは定義できません。
ただしこのEメールと紙媒体をクロスメディアとして組み合わせた施策なら、お互いの欠点をうまくカバーすることも可能です。
クロスメディアでのDM展開の特徴
紙やWEB媒体の強みを発揮できることがクロスメディアの特徴です。
ここではクロスメディアのDM展開についての特徴を3つご紹介します。
① リアルな媒体ならではのインパクト
リコー経済社会研究所の調査では、紙媒体とデジタル媒体について比較した文献のうち7割が「紙媒体のほうが優位性がある」と述べています。
特に紙媒体は紙をめくりながら読む動作が感覚的な効果を生みだし、勉強などで情報が自然と入ってきやすくなりより良い認知・理解につながる可能性があるとされています。
確かに同じ風景でもスマホの写真を介して見るのと、実際に見るのとでは印象は大きく異なりますよね。
紙媒体を組み合わせればリードの目に情報が飛び込みやすくなり、その分より興味や関心を持ってもらいやすくなるといえます。
② ゲーミフィケーション要素の追加
紙媒体のDMにQRコードを掲載することで、ECサイトや動画サイトなどのWEBコンテンツにリードを誘導できます。
特にコードをスキャンした先にガチャガチャやおみくじなどが楽しめるゲーム的な要素(ゲーミフィケーション)を付け足せば、より気軽にスキャンしてもらいやすくなります。
また限定ポイントやクーポンなどとひもつければ、スキャンした人だけが得できるような特別館を演出できます。
こうしたクロスメディアによるゲーミフィケーションの施策は、商店街や観光協会などすでに色々なところで活用されています。
③ リードの具体的な情報分析が可能
クロスメディアによるDM展開は、オンラインとオフライン両方からリード情報を分析できるのも大きな特徴です。
アクセス分析のツールをあらかじめ設定しておくことで、誰かがDMを介してWEBコンテンツに来た時点で時間や場所、ユーザの性別などの情報を自動で収集してくれます。
WEBコンテンツのSEO分析ツールなどと組み合わせれば、どのコンテンツをどれだけの時間見ていたかなどさらに細かなことが分析できるでしょう。
クロスメディアはWEBと紙の弱みを補完できる
マーケティングの一環としてDMを展開する際、WEBコンテンツと紙媒体とどちらを採用すればいいか一概に決めることはできません。
WEBコンテンツと紙媒体それぞれデメリットが異なるため、場合によってはせっかく施策をかけてもうまくいかない可能性があるためです。
クロスメディアによるDM展開ならお互いの長所をいかしつつ弱みをカバーすることができます。
特にQRコードなどを応用すれば、他にはない独自の内容のDMを配信できることも可能です。
・関連資料のリンク
[注1] ビジネスメール実態調査2023 | 一般社団法人日本ビジネスメール協会
・関連サービス
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