皆さん、UCDという言葉を聞いたことがありますか。
これは「ユニバーサルコミュニケーションデザイン」の略で、生命や財産にかかわる重要な情報などが、より伝わりやすくなるよう設計された”情報のデザイン”なんです。
そんなUCDの考えのもとより見やすく、情報が分かりやすくなるよう改善された情報デザインに与えられるのが「UCDA認証」。
今回はその「UCDA認証」がどのようなものか、お伝えします。
”ユニバーサルコミュニケーションデザイン”ってなに?
ユニバーサルコミュニケーションデザイン(UCD)とは、看板や冊子などのデザインがより情報が伝わりやすくなるよう科学的なメソッドに基づいて改善するという考え方です。
対象物に見にくいところや利用者に誤解を与えてしまうところなどデザイン上、改善が必要な点はないかUCDA側で審査して何も問題がなければ「UCDA認証」を取得できます。
UCDA認証を実際に取得している製品には、金融商品や医薬品など利用者の財産や生命に大きくかかわるものが多いです。
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「UCDA認証」には2つの制度が存在する
情報デザインの分かりやすさを改善するためのUCDA認証には、「見やすいデザイン」認証と「伝わるデザイン」認証の2つの認証制度があります。
目に入りやすくする「見やすいデザイン」認証
「見やすいデザイン」認証は情報の見にくさから来るユーザーのストレスを取り除くため、情報デザインの純粋な見やすさを評価・改善する認証制度です。
認証を取得できるのは、カレンダーや帳簿などといった事務用品や食品パッケージなどです。
認証を取得するにはまず評価ツールキットを購入し、以下の3点の基準をもとに対象物を自分自身で評価していきます。
- 情報量…対象物のテキスト量。
- タイポグラフィ…対象物のテキストの大きさや形状。
- 色彩設計…対象物の文字や背景などのカラーデザイン。
その後、評価結果と対象物をUCDAに審査してもらって問題なければ認証取得となります。
頭に入りやすくする「伝わるデザイン」認証
「伝わるデザイン」はユーザーが情報を誤解しないよう、パンフレットや申込書類の情報デザインの伝わりやすさを評価・改善する認証制度です。
自分自身で評価する「見やすいデザイン」とは違い、「伝わるデザイン」ではデザイナーなどの専門家による評議と一般生活者の第三者によるユーザーテストで審査されます。
「伝わるデザイン」認証を取得できるのは、保険や証券などの金融商品のパンフレットや申込書、通信端末などの取扱説明書といった、誤った情報の認識が金銭的・健康上の損害につながるおそれがあるものです。
UCDA認証を取得するには、UCDAメンバーの専門家が開発した科学的なデザイン改善プロセス「DCエンジニアリング」をクリアする必要があります。
DCエンジニアリングでは、まず専門家が会議やデータ分析にて情報デザインの改善点を絞りだし、次にユーザーテストにて実際に利用したときの問題点を調査。
その後、特許を取得した「DC9ヒューリスティック評価法」という制度で、情報デザインを9つの項目で評価しながら、具体的な改善プランを提案し、情報デザインを実際に修正していきます。
その後、修正した情報デザインをユーザーによるテストにかけて「伝達効果が上がった」と認められれば、UCDA認証が取得されます。
UCDA認証を取得することの3つのメリット
UCDA認証を取得した場合、以下の3つのメリットが期待できます。
1. 認証のプロセスを経ることでコミュニケーションの「伝達効率」が高まる。
対象物がよりユーザーにとって分かりやすいものになれば、情報の伝達もよりスムーズになりますね。
2. 「わかりやすさ」に基準を定めることにより、コミュニケーションの改善結果を維持し、不備率の低減や事務コストの削減など業務の効率化に貢献する。
あらかじめ対象物の情報デザインを分かりやすくすれば、後からユーザーの要望にあわせて改善する必要もないため不備率の低減や事務コストの削減などにつながります。
3. 顧客、株主、社員、地域社会、メディア等あらゆる利害関係者に対して、組織がお客様とのコミュニケーションを重要視する姿勢を伝える。
情報デザインを改善することは、情報をしっかり伝えたい姿勢のあらわれです。
UCDA認証の取得で、そうした姿勢を会社に関わる全ての個人や団体にアピールできます。
またUCDA認証を取得した対象物には、UCDAによる基準にもとづき以下のマークを表示する権利があります。
UCDA認証は誰にでも分かるよう伝える姿勢のしるし
UCDA認証はただ情報デザインを伝わりやすくする目的だけでなく、より情報を分かりやすく伝えようとする姿勢をアピールすることにもつながります。
特に保険や投資信託など、知識がないといまいち分かりづらくて手を出せないものなら、分かりやすい情報デザインの冊子や書類はとても有効的。
知らない人にどういうものなのか商品内容をイメージしてもらいやすくなり顧客を創出するチャンスが増えるかもしれません。
東洋美術印刷では「UCDAの窓口」として、利用者にとって分かりやすいものになるよう情報デザインを改善するお手伝いをしています。
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