見やすいデザインに必須な「カラーユニバーサルデザイン」とは

見やすいデザインに必須な「カラーユニバーサルデザイン」とはSDGs

デザインの世界には、「カラーユニバーサルデザイン」という言葉があります。

一般的なカラーデザインとは意味が少し異なるのですが、その違いはあまり知られていません。

しかしバリアフリーが普及している現代においてとっても重要なものなのです。

今回はカラーユニバーサルデザインについてご紹介いたします。

カラーユニバーサルデザインについて

カラーユニバーサルデザインとは、色覚に変異のある方でも難なく内容を読み取れるようにするための情報デザインです。

NPO法人 カラーユニバーサルデザイン機構では、カラーユニバーサルデザインには以下の3つの特徴があると定義しています。[注1]

【カラーユニバーサルデザインの3つの特徴】

  1. できるだけ多くの人に見分けやすい配色を選ぶ。
  2. 色を見分けにくい人(場合)でも情報が伝わるようにする。
  3. 色の名前を用いたコミュニケーションを可能にする。

 

人の色彩感覚の多様性を考慮することで、老人や障害のある方だけでなく誰にでも見やすく美しいカラーデザインを目指すのがカラーユニバーサルデザインの狙いです。

書籍や看板、パッケージなどカラーユニバーサルデザインに基づいて設計されたものについては、カラーユニバーサルデザイン認証を取得しているものも多いです。

またWEBサイトなどの視覚的なバリアフリーを目指すガイドラインとして、総務省が「JIS X 8341-3:2016」を規定しており、文字色と背景色のコントラストの目安などが具体的に明記されています。 [注2]

 

色覚多様性とものの見え方について

人間は目の中にある錐体とよばれるものから赤・緑・青の光を感知することで色を認識しています。

この錐体の状態によって、人間の色覚は以下のような多様性を帯びています。

【色覚多様性】

  • C型タイプ…錐体に変異が見られない(一般的)
  • P型タイプ…赤色を感受する錐体に変異がある
  • D型タイプ…緑色を感受する錐体に変異がある

 

P型やD型など先天的に錐体に変異のある方は日本人男性の約5%、日本人女性の約0.2%いるといわれています。

また先天的、後天的ともに錐体の変異は当人にとって自覚しにくいもののため、病院で診てもらうまで気づかないという人も少なくありません。[注3]

P型やD型の人には世の中の色がどのように見えているのか、今回は首都圏の路線図の画像を使ってシミュレーションしてみました。

C型タイプの方の路線図の見え方
C型タイプの方の見え方

 

P型タイプの方の路線図の見え方
P型タイプの方の見え方

 

D型タイプの方の見え方
D型タイプの方の見え方

どちらの場合でも、赤色や緑色など鮮やかな色を感受しにくいことが分かりますね。

普段違う色として認識している緑色とオレンジ色なども、人によっては同じ色が用いられていると勘違いされてしまいます。

カラーユニバーサルデザインを実現させるには、このような色の感受性の差異を考慮して色彩設計をしていく必要があります。

 

色覚の多様性にあわせたデザインのコツ

寒色や暖色同士の色は隣接させない

寒色(青色や青緑色など)同士、あるいは暖色(赤色や橙色など)同士は人によっては違う色だと認識しづらく、同じ色として映ってしまいます。

説明書などで色を変えて情報を区別しているところは、同系色の部分が重なったり交わったりしないようにしましょう。

 

やむを得ず隣り合うなら「工夫して」入れよう

どうしても似たような色が隣り合ってしまう場合、違う色で描かれていることが伝わるようデザインを工夫してあげる必要があります。

一番簡単なのは色の明度を変えて、明るい色と暗い色で分けてあげること。

錐体に変異があっても色の明暗は感じ取れるので、問題なく色を識別できるでしょう。

他にもただ色を塗るだけでなく図形を網掛にしたり、図形に縁を入れたりして違う図形だと伝わるようなデザインにすることが大事です。

明るい色と暗い色の区分けをした例図形に縁取りを入れた例

また紙面などに色の名前を明記してあげれば、何色のものなのか誰でもどんな状況でも分かりやすくなります。

 

カラーユニバーサルデザインは多様な色覚に配慮している

環境などによって普通に生活していてもどんな色が使われているか、見にくく感じることってあるかと思います。

このような色が判別しにくい場合でも情報がきちんと伝わるようにしたデザインがカラーユニバーサルデザインです。

街中の看板や申込書類など生命・財産にかかわる重要な情報デザインこそ、カラーユニバーサルデザインに基づいた工夫が必須不可欠なんですね。

しかし、自分たちが手がけているものが本当に誰にでも見やすいかどうか素人の判断じゃ分からないもの。

東洋美術印刷では「UCDAの窓口」としてカラーユニバーサルデザインを実現したいという方に、デザイン改善の手助けを行い情報の送り手と受け手の良好な関係を築くお手伝いをいたします。

詳しくは関連資料をご覧くださいね。

 

・関連資料のリンク

[注1] CUD:「カラーユニバーサルデザイン3つのポイント」とは?
[注2] ウェブアクセシビリティ基盤委員会:JIS X 8341-3:2016 解説
[注3] 東京都カラーユニバーサルデザインガイドライン

 

・関連資料のダウンロード

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