2025年にはシニア市場は101兆円を超えるとの試算が出ているものの、高齢者への販促活動は若者に対するものと異なり、適した方法の見極めが困難です。
シニア向けプロモーションでは「シニア」と大枠で捉えず、活動傾向に合わせ分類し、ターゲット層の高齢者に伝わりやすい媒体やデザインを用いるようにしましょう。
本記事ではシニア向けプロモーションの概要や対象となるシニアの定義、成功させるためのコツを事例とともに紹介します。
シニア向けプロモーションとは高齢者に対する販促活動のこと
シニア向けプロモーションとは、文字通り高齢者に対する製品認知や販売を促す活動のことです。
2025年には3人に1人が65歳以上の高齢者となり、シニア市場は101兆円を超えるとの試算も出ていることから注目を集める取り組みです。[注1][注2]
しかし、シニアと一口に言っても、年齢層は60~90代と30歳以上の開きがあり、さらに健康状態や趣味趣向も様々です。
そこで、シニア向けプロモーションでは、“シニア層”と一括りにせず、活動スタイルや傾向から、どのような高齢者をターゲットにしたいか明確にする必要があります。
シニア層ってそもそもどんな世代?
世界保健機関(WHO)では65歳以上の人を高齢者とし、日本でも同様の定義を採用しています。[注3]
とはいえ、上記は年齢による区分にすぎません。
シニア向けプロモーションではシニア層の活動量や消費行動により、以下の4分類で把握するとよいでしょう。
シニア層 | 特徴 |
アクティブシニア | 需要の多くがアッパー層のコト消費に集中する層 |
ディフェンシブシニア | 非就労で比較的収入は少ないながら健常に暮らしている層 |
ギャップシニア | 厚生労働省の進める「地域包括ケアシステム」との連動性も高く、 国策の旗振りもあり、いろいろな面で需要の伸びが期待できる層 |
ケアシニア | いわゆる要支援・要介護認定者で、 決裁者と受益者が異なり、介護職能に対するニーズもある層 |
出典:(株)日本SPセンター シニアマーケティング研究室Webサイト
上記分類の中でもさらに消費へのニーズ(モノかコトか等)により細分化されます。
シニア向けプロモーションを成功させるコツ
シニア向けプロモーションが難しい理由としては、ニーズや行動パターンが読みづらく、若者向けのようにWEB媒体のみに頼るのが難しいためです。
そのため、ターゲット層を意識し、その層に届く方法を選ぶ必要があります。
「シニア」ではなく属性や年代を意識する
「シニア」と一括りにしてプロモーションを行うのではなく、属性や年代を元に、どのようなシニア層に対してアプローチしたいか意識しましょう。
シニアといっても、旅行や登山など体を動かす趣味の方もいれば、学びなおしに興味のある方もいます。
また、扶養家族がいるか、孫がいるかによってもニーズは異なるでしょう。
シニアではなく、あくまでも高齢の典型的なユーザー(ペルソナ)として捉えるましょう。
ターゲットに合わせて方法を選定する
ターゲット層が決まったら、そこに属するシニアがどのような媒体を利用するか調査しプロモーションを行いましょう。
シニア層の場合、WEBだけでなく、新聞や雑誌、紙広告、テレビCMなども視野に入れます。
なお、NTTドコモの調査によると、日々積極的に活動を行うシニア層ではスマートフォンの普及率が9割を超えていると発表しています。
「シニアはインターネットを利用しない」という先入観は捨てた上で適切な方法を検討しましょう。[注4]
シニアに優しい文字やデザインにする
シニア向けプロモーションでは、文字は通常の1.5倍程度にする、文字と背景のコントラスト比を60%以上に設定するなどの配慮が求められます。
高齢になると老眼や色覚の変化から、通常の消費者向け広告では理解しづらいでしょう。
シニア向けプロモーションに成功した事例
シニア向けプロモーションの成功事例としては、大手スーパーマーケットI社の取り組みです。
I社では、複数の高齢者向けサービスを展開し多くを成功させています。
中でも、消費行動が活発な高齢者を対象とした「G.G感謝デー」(※)はCMやチラシ、店内放送、WEBサイトでの案内などにより、サービスの認知・利用に成功しています。
(※)毎月15日に55歳以上の顧客が指定のカードで支払うと5%割引になるサービス。
広告は文字を少なく「55歳」「5%」と強調したい部分のみ落ち着いた赤文字とし、高齢者でも見やすいデザインを採用しています。
G.Gは「Grand Generation」(最高の世代)の略称であり、男性高齢者の呼称に近しい点からも親近感を覚えやすい点も特徴です。
また、15日は年金支給日(偶数月のみ)にあたるため、シニアに覚えやすい日にちを採用しています。
シニア向けのプロモーションではどのような高齢者を対象とするか明確にしよう!
シニアと一口にいっても健康状態から消費傾向まで大きな開きがあるため、「どのようなシニア」に向けた取り組みか明確にしましょう。
その上で、加齢に伴う認知力や視力の低下をサポートする分かりやすいデザインを採用することが大切です。
・関連資料のリンク
[注1] 総務省統計局|「1.高齢者の人口」
[注2] みずほ銀行|みずほ産業調査 Vol.39
[注3] e-ヘルスネット|「高齢者」
[注4] モバイル社会研究所|「シニアの日々の活動「積極派」はスマホ所有9割超える(前年比+16)ー「積極派」と「消極派」とのスマホ所有率差は広がり20ポイントにー」
・関連資料のダウンロード
【ストリーミング動画】 ユニバーサルコミュニケーションデザインと高齢者のための情報デザイン 高齢者や多様な色覚者にも伝わりやすい情報デザインのための手法、 ユニバーサルコミュニケーションデザインについて解説します。 | |