小さくても読みやすいUDフォント「みんなの文字®」とは

小さくても読みやすいUDフォント「みんなの文字®」とはプロモーション

UDフォントをご存じでしょうか。

シニア層や弱視の方など、より多くの人にとって見やすくなるよう設計されたフォント(書体)である「ユニバーサル・デザイン・フォント」のことを言います。

今回はその中でも特に「みんなの文字®」という製品について紹介いたします。

東京都も利用している「みんなの文字」

東京都が平成27年9月から全家庭に対して配布した「東京防災」という冊子があります。

各家庭において災害意識が万全となるよう、いざというときにも役立つ情報を分かりやすくまとめた防災ブックとなっています。

この冊子のフォントに採用されているのが「みんなの文字」です。

命に関わるような大事な防災知識が詰まっているので、老若男女問わず、より多くの人に届ける必要がありますよね。

そこでユニバーサル・デザイン・フォントが採用されているわけです。

 

ユニバーサルデザインの考えがもととなった「UDフォント」

UDフォントはユニバーサルデザインの考え方が取り入れられた、老若男女誰にでも見やすいよう開発されたフォントです。

日本初となるUDフォントは2006年にフォントメーカーのイワタと松下電器(現在のパナソニック)が共同開発した「イワタUDフォント」で、以降多くのフォントメーカーがUDフォントを開発するようになりました。

 

UCDA認証を取得した「みんなの文字」

「みんなの文字」は株式会社イワタ、一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会(UCDA)、株式会社電通 の3社 が共同で開発したUDフォントです。

見やすさの客観的な評価基準に基づいてつくられた「みんなの文字」はUDフォントとしては唯一、第三者による情報の分かりやすさを認証する制度「UCDA認証」を取得しています。

 

「みんなの文字」の特徴と機能

「みんなの文字」では文字の見やすさの基準として以下の4点を挙げています。

  • 視認性…小さな文字でもくっきり見えること
  • 判読性…文字が劣化しても認識しやすいこと
  • 可読性…文字の間隔が密集していても読みやすいこと
  • 公平性…視覚の状態に関わらず誰でも見やすいこと

 

上記の点の低下により文字が見づらくならないよう、「みんなの文字」のフォントデザインには以下の機能が備わっています。

  1. 小さな文字でも字形がつぶれず見やすさを保つ設計
  2. 長文でもスムーズに読みすすめられる文字間隔の確保
  3. かすんだ字やにじんだ字でも判読しやすい字形
  4. 高齢者や様々な視覚を持つ人々にも認識しやすい仕様

 

Windowsの標準フォントと「みんなの文字」で、それぞれの文章を比較してみました。

Windows標準フォントと「みんなの文字」で文章を比較

 

誤読の原因となる文字の劣化が起きないよう、 「みんなの文字」はそれぞれの文字の画線と余白のバランスが調整されてるように見えます。

形が似ていて見間違えやすい字も「みんなの文字」では下記のように認識しやすいようデザインが改善されています。

Windows標準フォントと「みんなの文字」で似たような文字を比較

 

「みんなの文字」の開発プロセス

「みんなの文字」はレシートや明細票などに使われるドット状のビットマップフォントが基となって2012年に開発されました。

ビットマップフォントの高速印字では文字の先端までしっかり印字されないことも多く、細部までドットで表現できるフォントが求められていました。

当時の技術では1ドットだけ孤立した点が字の先端にあると印字で飛ばされやすく、「みんなの文字」では字の端にあった孤立する点をなくして字の細部まで正確に表現できるようにしています。

 

またイワタとユニバーサルコミュニケーションデザイン協会の間で文字の見やすさとは何か定義づけるための議論が長らく行われ、「視力低下や病気など視覚的な劣化・光の加減など環境的な劣化・にじみやかすれ など文字自体の劣化」の3つの要因から来る文字の劣化に強い文字が見やすい文字であるという説にたどり着きました。

そこで「みんなの文字」は東京電機大学の矢口博之准教授が考案したIPO評価法という方法を使い、文字画像の色調を白黒に二極化させた状態でかすれやつぶれの加工を入れたときに、画像のどの部分が変形されないのか分析しました。

さらに老若男女様々な属性からなる第三者200名を招いてユーザーテストを何度も実施して、IPO評価法の分析結果とユーザーテストの結果を照らし合わせることで「みんなの文字」の改善点を洗い出しました。

書体デザイナーによる基礎デザインをもとに、無数にもおよぶ改善点を反映させることで現在の「みんなの文字」ができあがりました。

 

「みんなの文字」が活用できる場面

現在「みんなの文字」は、成田空港の案内パンフレットや、前述の東京都の防災マニュアル「東京防災」など公共性の高い標識や冊子に使われていることが多いです。

視力や視覚に関わらず認識できる特徴のあるフォントのため、特にシニア層やご病気の方に関わりの強い保険商品や医薬品、健康食品といったジャンルの冊子や標識に「みんなの文字」は活用できるといえます。

 

UCDA認証の取得には必須のフォント

「みんなの文字」の開発メンバーともなっているUCDAはわかりやすさの認証制度である「見やすいデザイン」認証と、「伝わるデザイン」認証を運営しています。

金融・保険業界を中心に認知度が高まってきたUCDA認証ですが、最近では食品パッケージなどでも採用されるケースが目立ってきています。

この認証を取得するときに、8ポイント以下の小さい文字に関しては「みんなの文字」を使用することが基準とされています。認証取得を検討する際には、「みんなの文字」の採用も検討する必要があります。

 

「みんなの文字」のフォントセット

「みんなの文字」の種類として、ゴシック体と明朝体があります。それぞれウェイトと呼ばれる太さの種類がいくつか揃えられて販売されています。

これらのフォントセットはWindowsとMacintoshの両方に対応しているので、DTPなどの作業でMacintoshを使っている方でも問題なく利用できます。

このほかにもWindows版のみですがアルファベット用・ハングル用・中国語漢字(簡体字・繁体字)用などのグローバル対応のフォント製品もリリースされています。

 

普遍的な認識しやすさを追求した「みんなの文字」

ユニバーサルデザインを取り入れた「UDフォント」を、さらに発展させて文字が劣化しても何が書いてあるのか視認しやすいようにしたのが「みんなの文字」です。

みんなの文字はユーザーテストや科学的な分析調査などを繰り返したことで、文字が様々な形で劣化していても問題なく読めるデザインを実現しました。

少子高齢化や訪日外国人の増加などで、より多種多様な属性の方々に向けて情報デザインを提供していく必要性が強まった現在、「みんなの文字」は冊子や標識、WEBコンテンツなど様々なところでユニバーサルコミュニケーションデザイン実現のための欠かせないツールとなるでしょう。

 

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