新人研修や社員教育の教材というと、ExcelやPowerPointなどで作ったドキュメントを印刷して配布する会社が多いと思います。
しかし昨今のDX化により、YouTubeなどのWEB動画形式で業務マニュアルをはじめとした教材を作るケースが増えています。
紙媒体から動画へとマニュアルの形が変わることで、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。
今回は社員教育や研修に使われる動画マニュアルについて紹介します。
動画マニュアルの最大のメリットは「伝わりやすさ」
動画マニュアルが持つ最大の利点は、何といっても情報の伝わりやすさです。
動画は文章の5000倍もの情報を伝えられるという俗説もありますが、言葉で説明されるよりもそのものを見たほうが分かりやすいと感じたことがあると思います。
動作のタイミングや細やかな所作など言葉では思い通りに伝えにくいことも、動画マニュアルならそのまま伝えらえるため、情報の誤認や食い違いなどが起こりにくくなります。
また、研修の場で実際の作業風景を見せたい場合、従来なら研修の度に作業員に協力してもらう必要がありましたが、一度動画マニュアルを作ってしまえば、後は研修ごとに繰り返し流せばよくなるため、現場の協力負担も減らせます。
研修を受ける側にとっても気になる部分で動画を止めたり何度も巻き戻したりできるので、作業の理解度もより深まりやすいです。
そのほかにも、外国語に対応したテロップやナレーションを入れることで、外国人労働者の多い現場や海外進出している店舗などでも同じ研修内容を共有できる点や、社内サーバーや共有クラウドできっちり管理することで紙媒体のマニュアルよりも外部に流出・紛失するおそれが低くなるといった利点が挙げられます。
動画マニュアルを導入している2つの事例
ここでは接客や作業などのノウハウを伝授するために動画マニュアルを導入した企業の事例を紹介します。
マニュアル導入事例:静岡県のJAグループ
静岡県のJAでは、ミカンやジャガイモなどの農作物ごとにそれぞれ作業マニュアルの動画を公開しています。
主産物の一つであるミカンの動画マニュアルでは、出荷に適さないミカンについて、実物の例を紹介しながら説明しています。
小さすぎるものや表面がごつごつとしたものなどを動画マニュアルで見せれば、農業の経験がない初心者でも見分けやすくなりますね。
また字幕を入れることで、農作業の専門用語に馴染みがなくても内容がわかりやすく、見ている人に優しい動画マニュアルとなっています。[注1]
マニュアル導入事例:社会福祉法人 フラワー園
介護施設を運営する社会福祉法人フラワー園では、体が不自由な方をどう介護するべきかNGとなる行動例をまとめた動画マニュアルを公開しています。
起床時や食事時など様々なシチュエーションに応じて、不適切となりうる言動を職員が実演するというものですが、「こうしましょう」というような対策例はあえてあまり出さず、見ている方に考えてもらうような構成になっています。
動画マニュアルを見た後に自ら考えたり周囲と話し合ったりすれば、より教育内容が定着しやすくなりますね。[注2]
動画マニュアルを作成する4つの手順
作成手順1. ターゲットを設定する
まずは誰に向けてどんな目的で作成するのか、動画マニュアルの方向性を決める必要があります。
ターゲットによって動画マニュアルの構成が大きく変わるだけでなく、どのように見せるのか画面のレイアウトなどにもかかわってきます。
最初にある程度決めてから撮影や編集に取り掛かれば、後々コンセプトが変わって再撮影・再編集するといった無駄な動きも減らせます。
作成手順2. 動画の構成を作成する
数分程度の動画マニュアルでも、一連の構成を考えることは必須です。
どんな内容から始めるべきか、どれぐらいの長さにするか、ナレーションやテロップは入れるか、まずは全体像をまとめて構成を作ってみましょう。
文章だけではうまくアイデアをまとめられなければ、絵コンテなどを入れるのもおすすめです。
また撮影時に誰かに協力してもらう場合は、事前にスケジュール調整を忘れずにやっておきましょう。
作成手順3. 動画の撮影・音声の収録
撮影に入る前に、撮ろうとしているアングルが適切かどうか確認しておきましょう。確認点としては、以下の項目があげれます。
- 被写体との距離が離れすぎたり近すぎたりしていないか
- 被写体が日光や影にかぶさって見えにくくなっていないか
- 映したくないものが入ってしまっていないか
実際に撮影する際は一つのアングルだけでなく、同じ作業の様子でもなるべく多くのアングルで撮影するのがおすすめです。
編集時に一番見やすいアングルのものが選べるようになるほか、作業によってはあらゆるアングルで手順を見せたほうが伝わりやすくなるものもあるからです。
作成手順4. 撮影した映像を編集する
撮影した映像は無駄な部分をカットしていき、できるだけ簡潔なものになるよう編集していきます。
テロップやナレーションなどを付け加える場合、入れすぎてかえって何を伝えたいか分からないということにならないよう気を付けましょう。
さらにテロップが映像内容の邪魔にならないよう、出す位置やタイミングにも注意が必要です。
一通り動画としてまとめたものは、一度周りの方々に見せて直さないといけないところはないかチェックしてもらいましょう。
言葉では伝えにくいことほど動画マニュアルで!
現在、多くの企業や団体が自分たちの製品やサービスに関する動画を作成・公開していますが、新入社員などに向けて研修内容を動画マニュアルにしている企業も少なくありません。
新人教育や研修にあまり人的資源を使えない、あるいは支店や事務所が多くて教育内容を標準化できないといった悩みなら、動画マニュアルによる研修を導入するのが効果的。
しかし動画編集やカメラの操作に慣れているスタッフがいないと、思い通りの内容の動画マニュアルを作るのも難しいもの。
動画を作れる人間が近くにいない場合は、プロの撮影隊などに作成を依頼してみるのもいいですよ。
・関連資料のリンク
[注1] 静岡県のJA│農家で働こう~作業マニュアル動画の紹介~
[注2] 社会福祉法人『フラワー園』公式Youtubeチャンネル
・関連サービス
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